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Friday, July 23, 2004

【聖書の預言を実行するブッシュ大統領】

■キリストの再臨とアメリカの政治 (田中宇の国際ニュース解説

このところ田中さんのニュース解説は“キレテル”。先日ここにポストした『華氏911とイスラエル』の続編となる今回の記事は、9.11からはじまったアメリカ(イスラエル)による“テロとの戦争”の実相に最も迫るものではないかと思う。

▼イスラエル建国で始まったキリスト再臨への道  

私が見るところ、米政界でイスラエル支持傾向が強まった原因は、ユダヤ系米国民自身の投票行動よりも、むしろイスラエルを支持するキリスト教右派勢力(キリスト教原理主義、福音派プロテスタント)の動きであると思われる。

彼らは、米国民の15-18%を占め、共和党だけを見ると党員の33%を占めており、ユダヤ系よりもはるかに大きな勢力である。("Iraq and the Christian Zionists")

この派閥のキリスト教は、聖書のヨハネの黙示録などに書いてあることがそのまま現実になり「最後の審判」と「キリストの再臨」が起きる日が来ると考えている。起きるとされていることを順番に書くと、以下のようになる。

(1)ローマ帝国によって滅ぼされたユダヤ人の国イスラエルが再建され、世界に散っていたユダヤ人が再び集まってくる。

(2)イスラエルは強大になり、ユダヤ人が神から授かったと聖書にあるユーフラテス川からナイル川までの「約束の地」を領土として持つようになる。

(3)現在イスラム教の「岩のドーム」と「アルアクサ・モスク」があるエルサレムの「神殿の丘」に、ユダヤ教の神殿(第三神殿)が建てられる(モスクと岩のドームは破壊される)。

(4)その間に反キリスト教の勢力が結集し、イスラエルとの最終戦争になる。その際、全世界の王(指導者、軍隊)がイスラエルの「メギドの丘」(ハル・メギド、ヘブライ語で「ハルマゲドン」)に召集される(メギドはイスラエル北部のハイファ近くの地名)。

(5)最終戦争でイスラエルが滅びそうになったとき、イエス・キリストが再びこの世に現れる。かつてイエスを信じず十字架にかけさせたユダヤ人は、今やイエスを救世主と認めてキリスト教に改宗し、信者にならなかった異教徒は焼き殺される。その後、1000年間の至福の時代が来る。 (実際には、聖書にこれらの出来事が順番に明確に書かれているわけではない。旧約と新約の中のいくつかの節を並べて解釈していくと、このような未来の展開が読み解ける、という解釈の世界の話である)  

これらの出来事の流れをふまえた上で、実際に起きた出来事を振り返ると、歴史が聖書の記述の通りに展開していると考えることが可能になる。

1948年にイスラエルが建国した時点で(1)が成立し、1967年の第三次中東戦争でイスラエルがヨルダン川西岸、ガザ、シナイ半島を周辺国から奪って占領した時点で(2)が始まっており、昨年のイラク戦争も(2)が進展していることを表すとともに(4)を誘発している。中東和平交渉が座礁した2000年、イスラエル右派のリクード党首だったシャロン(現首相)が「神殿の丘」に強行的に上がり、パレスチナ人の怒りをかってテロを誘発したのは(3)につながる行為で(4)を誘発する意味があった。

▼聖書と現実のシンクロナイズ  

かつてアメリカが入植・建国されていく過程で、イギリスからアメリカ大陸への移住を、イスラエルの再建になぞらえたキリスト教徒の勢力がいくつもあった。

彼らは、自分たちの行動力でアメリカにイスラエルが再建され、それをきっかけにして歴史が聖書の記述通りに展開してイエスの再臨が起き、千年の至福の時代を早く実現させたいと考えた。

19世紀にイスラエルを建国しようとするユダヤ人のシオニズム運動が起きたときも、イギリスやアメリカで同様の考え方が広がった。  

原理主義の立場をとるキリスト教徒は世界中にいるが、多くの信者は、キリストの再臨を待ちこがれているものの、自分たちの方から国際政治を動かして最終戦争の状態を作ろうとはしていない。その意味でアメリカのキリスト教原理主義は少数派であり、アメリカ的な能動的な価値観に基づいた特殊な存在である。

大昔から自然に形成された伝統のある社会に住む日本人など多くの国の人々にとって、歴史は「自然に起きたこと」の連続体であるが、近代になって建国されたアメリカでは「歴史は自分たちの行動力で作るもの」という考え方が強い。  

キリスト教では、イエスの再臨がいつ起きるかは人間が事前に知ることができないとされているが、そうした受け身の状態に満足できないアメリカのキリスト教徒の中には、キリスト教徒の全員が幸せになれるイエス再臨後の至福の千年間を早く実現したいがために「聖書の記述と同じような出来事を起こし、現実と聖書とをシンクロナイズ(同調)させれば、キリストが再臨するに違いない」と考える人々がいる。  

この立場に立つと、キリストの再臨を起こすには、イスラエルが建国されてユーフラテス川までを領土にする強大な国になり、エルサレムからイスラム教徒を追い出してアルアクサ・モスクを壊す必要がある。

その一方で、イスラム教徒が激怒してイスラエルに対する敵視を強めることは、最終戦争の実現につながる動きとしてむしろ歓迎される。

また、イスラエルの領土拡大や核武装、中東和平の破棄、キリスト・ユダヤ連合とイスラム世界との「文明の衝突」としてのテロ戦争の激化、アメリカとイスラエルによるイラク統治、シリアやイラン、サウジアラビアの政権転覆などが支持される。("Christian Zionists Shape Mideast Policy")

ブッシュ大統領とアメリカ国内のキリスト教福音派ネットワークとの深いつながりについては、エリック・ローラン著の『ブッシュの「聖戦」―宗教、ビジネス、闇のネットワーク』に詳しく書かれているけれど、ブッシュの戦争が特異なのは、彼がキリストの再臨を信奉する熱烈な福音派信者=キリスト教原理主義者であり、しかもどういうわけか“自分は神に選ばれた”結果、大統領に成ったと信じ込んでいるために、理屈ではなくテロとの戦争を“ある目的の為に”粛々と実行しているという部分だ。

多くのユダヤ人にとって、イスラエルの建国は悲願だった。それが成就して次に彼等が究極の悲願としているのはエルサレムの神殿の丘にユダヤ教の神殿を再建(=第三神殿)することに他ならない。

この事は秘密でもなんでもなく、多くのユダヤ研究書でも言及されているし、僕の知る何人かのユダヤ人達(中にはユダヤ教のラビも居る)も異口同音に語る“夢”なのだ。

しかし、その為には今建っている黄金のモスクは破壊されなければならないし、また聖書の記述どおりだとすると、いわゆる黙示録に出てくる最終戦争=ハルマゲドンが起きなければならない。

つまり、上記の記事の(3)~(5)が現在進行中ということだ。 こうしたシナリオは、今までも様々な国際ユダヤ陰謀論を展開する書籍(もちろん中には荒唐無稽なトンデモ本も多数あるけれど)で様々な陰謀の真の動機として提示されてきたが、今回の田中さんの記事は、そのあたりの文脈をトンデモ本や陰謀論的な視座からではなく、客観的に判りやすく読み解いてくれている。

世界情勢は最終戦争に向けて進行中だという見方をしているのは、何もエキセントリックな陰謀史家だけではない。

僕自身、9.11以降おぼろげながら感じていたこの嫌な予感が、このところ確信に変わりつつあったんだけど、例えば以前僕の番組にゲスト出演してもらった国際金融アナリストの増田俊男氏は、早くから9.11を予測(予言ではない)し、そして最近は「大統領選挙前にエルサレムを舞台として9.11を超える大規模な事件が起きる」ことを明言している。(増田俊男の時事直言

それはアラブ諸国対イスラエルの中東戦争の引き金になるような事件だろう。

アメリカは2年前、北朝鮮のスカッドミサイル15機を満載してイエーメンに向かう貨物船を一旦は捕獲しておきながら、国際法に違反しないという理由でイエーメン港への陸揚げを許した。

アメリカはありもしない大量破壊兵器を理由に国際法に違反してイラク侵攻をする国なのに、自ら「悪の枢軸」と指名した北朝鮮の大量破壊兵器を敵のアルカイダの軍事訓練所があるイエーメンに渡している。

国際法に違反していないなど理由にもならない理由で15機のスカッドミサイルを敵に手渡した事実のウラに、これから「何かが起こる」ヒントがあるように思う。

パレスチナの自爆テロによる犠牲者が毎日のように出ているイスラエルで、もし9・11並みの事件が起きたらアメリカの大統領選はどういう展開になるか想像してみてはどうか。 ケリーの当選などあり得ない。

もし大事件で何千人ものユダヤ人犠牲者が出たなら、今までのようにアメリカはイスラエルのアラブ侵攻の野心を押さえることはできなくなる。

イスラエルを標的としたパレスチナのテロを梃子にして、イスラエルの対パレスチナの野心が進行する。

この動きは「何か」が爆発した時イスラエル対アラブの中東戦争に発展する。歴史に偶然はない。だから私はアメリカの国益から2001年2月と8月に9・11を予測できたのである。

アメリカの極端な中東政策は、単なるオイル利権やドル防衛だけではなく、その背景に狂信的信念があることを認識しなければならない。

“彼ら”は確信を持って、聖書の預言を一日も早く成就しようとしているのだ。間違いない。

■参考リンク:

増田俊男さんの2004年大胆予測

イスラエル軍タンク30台 ガザ地区へ侵攻

聖地エルサレムのモスクへイスラエル警察が突入

President Bush Discusses Iraq Policy at Whitehall Palace in London

Leaders in Europe should withdraw all favor and support from any Palestinian ruler who fails his people and betrays their cause. And Europe's leaders -- and all leaders -- should strongly oppose anti-Semitism, which poisons public debates over the future of the Middle East. (Applause.)

July 23, 2004 in IRAN, Politics, Religion | Permalink

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