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Monday, April 24, 2006

【イランに対する核攻撃はあるのか】

■「アメリカは間もなくイランを核兵器で攻撃する」

この話は一昨日にアップした「5月25日に彗星が地球に衝突するかもしれない」という記事と、実は関係しています。(どう関係しているかは、読めば分かります。)

ただし、こちらはもっとリアルでシリアス。アメリカがイランに対して先制核攻撃を行う可能性が想像以上に高く、その背景には、キリスト教とイスラム教それぞれの原理主義者による『ハルマゲドン思想の対決』という宗教的なモティベーションが存在するという話です。

国際情勢解説者の田中宇さんの国際ニュース解説「イランは核攻撃される?」から。

 イスラエルの核兵器開発や、イラク戦争をめぐる米政府のウソや不正について、暴露本や雑誌の特ダネ記事を書き続けてきたジャーナリストのセイモア・ハーシュが最近書いた「アメリカは間もなくイランを核兵器で攻撃する」という主旨の記事が、物議をかもしている。(関連記事

 今回の記事は、前回の延長線上にあるが「米軍がイランを攻撃する際には、核兵器が使われるだろう」と指摘している点が新しい。イランが核開発を行っているイラン中部のナタンズの施設は深い地下にあるとされ、通常の兵器では破壊できないので、破壊力の大きな小型核兵器(核バンカーバスター)を使う予定なのだという。

 ハーシュの記事が衝撃的なのは、ブッシュ政権は2001年の就任当初から、核兵器の実戦使用の実績を作ることを目論んでおり、この延長にイランへの核攻撃があるという点である。ブッシュ政権は、やむを得ずに核兵器を使うのではなく、なるべく早い機会に核兵器を実戦使用する実績を作りたいので、こじつけの理由でも良いからイランを核で攻撃したいと思っているという。

 核兵器は、広島と長崎で使われた後、世界の5大国が「抑止力」として保有することはできても、実際に使うことは外交上許されていなかった。だがブッシュ政権内では「アメリカは国際的な了解事項をあえて破り、核兵器を使うことがあるのだということを世界に誇示した方が、悪の枢軸など独裁的な反米国を抑制できるので良い」という考え方が強く、核兵器を使いたがっている。

 核問題でイランが譲歩しても、ブッシュ政権は「テロ組織支援」など他の名目に力点を移すことで、いずれイランを核攻撃する、ということである。

日本ではあんまり報道されなかったけれど、先々週あたりはCNNやMSNBC、BBCなんかでもこのニューヨーカーに掲載された記事について、かなり大きく取り扱って盛んに議論していました。

ちなみにこのセイモア・ハーシュ氏は、昨年の1月ごろにもブッシュがイランを次の攻撃目標にしているという記事を発表しているし、その前の2004年にもイラクのアブグレイブ収容所でアメリカ兵が無実のイラク人に対して行っていた虐待の事実を同じくThe New Yorkerでスクープ報道した実績を持ち、リスペクトされているジャーナリストです。

彼はブッシュ政権の中東政策に反対する勢力(特に諜報機関や軍部)と深いパイプを持っているともっぱらの噂だれど、それだけに今回の記事も、多くの人が「本当かもしれない」とシリアスに受け止めたのでしょう。

ハーシュと同じく米政界中枢の情報戦争の一環としての情報漏洩を受け、記事を書き続けているとおぼしきジム・ローブは「イラン攻撃話は、心理戦か、それとも本当の計画か?」と題する記事を書いている。(関連記事

(ハーシュもローブもユダヤ系の記者で、彼らの情報源もユダヤ系の勢力であると考えられる。アメリカのユダヤ系勢力の中には、好戦的な右派シオニストと、右派を嫌う現実派の勢力があり、米政界に対するユダヤ系の影響力の強さを背景に、アメリカの外交政策をどっちの方向に持っていくかをめぐって暗闘を続けている。おそらくハーシュやローブの情報源は右派を阻止しようとする勢力で、暗闘の一環として情報漏洩が行われている)

 ユダヤ系アメリカ人社会の中でも現実派系のオピニオン雑誌である「フォワード」も「ブッシュ政権は、イランとの戦争は不可避であると考えている」「彼らはここ数カ月、事後の悪影響を無視してイランへの激しい空爆を挙行することを検討している」「イランを攻撃するというのは口だけだという指摘もあるが、ワシントンの雰囲気は、明らかに激変した」といった内容の記事を最近出した。(関連記事

 同時期には、イギリスのサンデー・タイムスやワシントンポストなども、イラン攻撃が近いと報じている。サンデータイムスは、ブッシュは3年後の任期の終わりまでにイランを攻撃するつもりだと報じた。(関連記事

どうやら小型の核爆弾を使ってイランの核開発施設を攻撃する計画があるのは事実のようですが、じゃあ一体いつ頃に攻撃すると予想されているのでしょうか?

 アメリカがイランを攻撃するとしたら、それはいつなのか。最も近い時期としては、イランの核開発疑惑を長く調べてきた米カリフォルニア大学のジョージ・ヒルシュ教授が「米連邦議会が休会中である4月末までの間に、ブッシュはイラン核攻撃を実施するだろう」と予測している。ヒルシュがそう考える根拠は、後になればなるほど、イラクでの失敗などをめぐるブッシュ政権のスキャンダルが噴出し、共和党内の国際協調派が盛り返し、強硬派がイラン攻撃を挙行できる可能性が減るので、強硬派は急いでいるからだという。(関連記事

 ヒルシュの指摘には一理あるが、私が見るところ、そんなに早く攻撃は実施されそうもない。イランを攻撃するとなると、核を使うかどうかにかかわらず、イラクやカタールなどに駐留する米軍が何週間か前から攻撃準備に入るはずだ。米中枢では、イラン攻撃に反対する人が多いので、攻撃準備に入ったら、その情報はマスコミにリークされ「●月をメドに攻撃準備に入った」と具体的に報じられるはずである。そうした報道はまだないので、しばらくは攻撃はないと考えられる。

 もう少し先の話になると「ブッシュ政権は、今年11月の中間選挙での共和党勝利を実現するため、戦争で不人気を吹き飛ばす目的で、選挙前の今年7ー10月あたりにイランに戦争を仕掛けるのではないか」という予測がある。「アメリカ第一主義」の言論人パット・ブキャナンや、反ブッシュの論調で知られるMITのポール・クルーグマン教授が、この説を展開している。(関連記事その1その2

それにしても、現在のイラクはほぼ内戦状態で国内情勢が少しも改善していない状況なのに、本当にアメリカがイランを攻撃するなんてことが在り得るのでしょうか?

実はそこに、ほとんどオカルト的とも思える背景が存在しているようです。

それは、ブッシュの支持母体であるキリスト教原理主義者が持っている『キリスト再臨を促すためのハルマゲドン思想』と、イランのアマハディネジャド大統領が持っている『イスラム教独自のハルマゲドン思想』との戦いという構造です。

詳しくは、2ヶ月ほど前にリリースされた田中さんの記事「イランとアメリカのハルマゲドン」を参照していただきたいのですが、この記事は恐ろしいほど正確に今の状況を言い当てているように僕には思えてなりません。

 1年半ほど前に「キリストの再臨とアメリカの政治」という記事を書いた。「聖書には、イスラエルと反キリスト勢力との最終戦争(ハルマゲドン)が起きるとき、ローマ時代に昇天したキリストが再び地上に降臨し、至福の時代をもたらしてくれるという預言が書かれているが、この預言を早く実現するため、イスラエルの拡大や、中東での最終戦争を誘発しているキリスト教原理主義の勢力が、アメリカ政界で強い力を持ち、ブッシュ政権を動かしている」という主旨の分析だった。

 その後、イラクの泥沼化によって中東全域で反米感情が高まり、中東各地で欧米(キリスト教世界)への敵意を持つイスラム原理主義勢力が勃興し「イスラエルを潰せ」という呼びかけが強まり、ブッシュ政権はイラクに次いでイランにも戦争を仕掛けようとしている。中東はまさにハルマゲドンに近づいている観がある。

 そんな中で最近、さらに興味深い構図があることが分かってきた。それは「最終戦争」の構図の中でアメリカの敵となっているイランにも、アメリカとそっくりな、鏡に映したような「この世の終わりに、大混乱の中で救世主が再臨する」「再臨を早めるため、世の中の混乱をむしろ誘発した方が良い」と考えるイスラム教の勢力があることである。しかもイスラム教では、「マフディ」(Mahdi)と呼ばれるこの救世主の再臨は、イエス・キリストの再臨の前に起きることになっている。

 コーランの終末論には、キリスト教にない話も載っている。それがマフディの出現で、彼はキリストが再臨する前に世界が大混乱するときに現れ、悪者(「ダジャル」dajjal と呼ばれるニセの救世主)と戦って勝ち、この勝利の後、キリストが天から再臨することになっている。

 昨夏からイランの大統領をしているマフムード・アハマディネジャドは、マフディの出現を誘発すべきだと考える一派の人間だという指摘がある。アメリカとイランは、両方で救世主の出現を早めようと相互に好戦的なことを言い合う構図になっている。

つまり、アメリカもイランも双方とも、それぞれ対極に在りながら独自の終末思想に基づいて、出来るだけ早く世界最終戦争=ハルマゲドンを起こして救世主の出現を促そうという信念を持っているわけですよ。

冗談じゃない!

これじゃアメリカによるイランへの先制核攻撃を止めさせようという抑止力はまるで無いも同然です。

 昨年8月に就任したイランのアハマディネジャド大統領は、マフディの再来を強く意識した政策や言動を展開している。政権ができた1カ月後、マフディの再来をテーマにしたセミナーが政府肝いりで開かれ、講演したアハマディネジャドは「物質主義(物欲重視)やリベラル主義(脱宗教による個人重視)に基づいた経済発展を目指す政策はもうやめる。

 代わりに、マフディが間もなく再来するという期待感を基盤とした思考に基づき、国内政策や外交をやっていく」「マフディが再来する条件を整えることこそが、政府の任務である」と述べている。(関連記事

 ブッシュ政権に強い影響力を持っているとされるアメリカのキリスト教原理主義には、キリストの出現を誘発するために中東で戦争を起こす、という考え方があるが、アハマディネジャドもそれと同じ考え方である。ただし、アメリカとイランでは、善悪が逆転している。お互いに「自分の方が善であり、相手が倒すべき悪だ」と考えており、鏡像的な敵対関係にある。(関連記事

 アメリカとイランの権力者のどちらかが「戦争はしたくない」と考えているのなら、イランをめぐる危機は、戦争までならずに回避される可能性があるが、互いが「戦争こそ必要」と思っているため、アメリカがイランを空爆し、イランが復讐して長い戦争が始まるというシナリオは、ほとんど不可避であると感じられる。

これはもう、全く絶望的なシナリオではあるけれど、これまでは僕は湾岸戦争もアフガニスタンもイラクも、キリスト教原理主義者による立場から中東政策が進められているのだろうと思っていたので、この田中さんの記事を読んでこれは非常に実際的な分析ではないかと感じたし、その印象は日々強まるばかりです。

ただし、イランを攻撃するには前回のイラクのような大義名分がアメリカにあるかどうか、ここが問題です。

国連安保理に付託されているイランの核開発問題に対しても、ロシアや中国は距離をおいているし、イギリスも前回ほど応援してくれない可能性が高い。

そうなると、アメリカが独断で実行することに成るのでしょうけれど、その際にアメリカが単独で行うか、それともイスラエルと合同で行うか、あるいはイスラエルが単独で行うか、いくつかのシナリオが在るといわれているそうです。

そういえば以前、JAM THE WORLDにも何度かゲストでお迎えした国際金融アナリストの増田俊男さんが、「いずれイスラエルをターゲットに9.11クラスの大事件が起きて、世界の誰も文句が云えない状況で次の戦争がスタートする。」と云ってたのを思い出します。

増田氏によると、北朝鮮からイエメンに運び込まれたミサイルがエルサレムに撃ち込まれる可能性が高い、とのことでしたが・・・。

例の彗星が地球に衝突するのが先か、それともアメリカがイランを核攻撃するのが先なのか、どちらも起きて欲しくはないけれど、この二つのシナリオのどっちに転んでも人類にとってトンでもない事態に成る事は確実。

こうなると本当にエイリアンでも現れない限り、人類の未来は限りなく救いようがない方向に向かっていく気がします。

何とかして、この世の中に蔓延する原理主義的な終末思想のトレンドを打ち消すことは出来ないんでしょうかね・・・。

April 24, 2006 in IRAN, Media, Politics, Religion | Permalink

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