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Wednesday, May 17, 2006

【JAMのゲストに菊池武夫さんが登場】

■昨日放送したJAM THE WORLDのゲストはファッション・デザイナーの大御所、クールビズの仕掛け人でもある菊池武夫さん

Kikuchijam20060517_1

菊池さんとは、かれこれ2年ぶりの再会。相変わらずいつお会いしてもカッコ良い。

僕も出来ることなら、菊池さんのように歳を重ねたいと思う、憧れの大先輩である。

世の中的にはアンチエイジングがトレンドだけれども、菊池さんを見ていると「歳を取るのも悪くないなぁ。」な~んて思えてくる。

「菊池さんというと“元祖、チョイワルオヤジ”ですよね!」なんていうと怒られるかと思ったら、案外御本人も「そうそう・・、僕なんかほんとにそういうイメージだから。」と笑って肯定していらっしゃった。

個人的な話になるけれど、菊池さんとの御縁は10年以上前に遡る。

94年の秋冬コレクションだったと思うけど、友人のスーパー・スタイリスト大久保篤志氏のキャスティングで、恐れ多くも“モデル”としてショーに出演させてもらったのが最初の御縁だった。

今となっては想像もつかないけれど、当時の僕は胸まで伸ばしたストレートなロング・ヘア。体重は今より10キロは軽くて、どちらかというとスキニーな方だった。まぁ、ウェスト周りはビール好きがバレバレだったけどね・・・。

僕が担当したのはレザーのバイカー・ジャケットとパンツを2ポーズだったと思うけど、ミュージシャンとしてステージに立つのとはかなり勝手が違って、なんせ初めての体験だったし、ステージ裏の慌しさに圧倒されて、何処をどう歩いたのか、一応ポージング(といっても立ち止まった程度だが)も決めてはみたけれど、果たしてどんな風に見えていたのやら・・・。

そして菊池さんとはその翌年に、今度は'96秋冬コレクションのショーのプロデューサーという立場で約6ヶ月間御一緒させていただいた。

ショーといっても、ただのショーじゃない。「ABSOLUTE MEDIA MIX」というサブタイトルを付けたこのショーは、当時はまだ走りだったインターネットとステージを連動させるという試み。

実際にネット上でコレクションを発表するという試みは、当時アメリカでオンラインのショーが話題に成った『VICTRIA'S SECRET』と同時期かそれよりも少し早かったので、いわゆる“世界初”に近かったのではないかと思う。

ショーの為に公式サイトを立ち上げてコレクションの製作過程を見せたり、当時としては最先端の3DCGやヴァーチャル・リアリティを使用して、ステージ上には巨大モニターやディスプレーを壁状に配置して、その前を歩くモデルが着ているのと同じスタイル、but色違いやパターン違いという組み合わせをCGで出力し、リアルなモデルとヴァーチャルなモデルがステージ上で共演する、という凝った演出だった。

これも元々は菊池さんの「単に服を見せるだけじゃなくて、WEBを使ったり先端的な映像技術を使ってあらゆる角度からコレクションを表現したい。デジタル時代の都市景観を背景に服を見せたい。」というアイデアがあって、僕の役割はそれを具現化するというものだった。

とにかくBGMと映像と、モデルの出入りをリアルタイムでシンクロさせる必要があったので、タイムコードに基づいてほとんど秒単位の進行だった。

モデルのコントロールについては大ベテランの四方義郎さんにお任せしたのだけど、通常は秒単位で進行するなんてことは在り得ないから、モデルの着替えも時間内にやらなきゃいけないということで、もう本当に大変だったらしい。

しかもそれだけじゃなくて、着替え終わったモデルが出待ちしているところをブルーバックにしてクロマキーでCGと合成して出すとか、さらに3人のカメラマンがスロースピード・シャッターに設定したハンディーでモデルを追っかける映像をライブでミックスして演出したり、今考えると正気の沙汰ではない。

映像のディレクションは、パイオニアのレーザーアクティブのプロジェクトでも一緒に仕事をしたビデオ・アーティストの川口真央氏に担当してもらったんだけど、映像のソースだけども数十本はあったと思う。ほとんど作業的にはテレビの生放送に近いものだった。

今でこそ同じような演出をしたショーは時々見かけるけど、当時はまだ誰もやっていなかったので、自分でいうのもなんだけど相当革新的だったし、冒険的だったと思う。

おそらく普通のコレクションをやるよりも多くのコストと時間をかけた、そんなプロジェクトが可能だったのも、これも一重に菊池さんの遊び心というか、「こんなことが出来ないだろうか?」という旺盛な好奇心が原動力に成っていたからだ。

イベントのプロデュースという仕事は結構好きだけれど、このプロジェクトは個人的に最も楽しむことが出来たものの一つだし、菊池さんのコレクションが出来上がっていく製作過程に最初から最後まで立ち会うことが出来たという意味で、菊池さんの仕事に対するスタンスやこだわりを実感することが出来て、大変貴重な体験だった。

久しぶりにお会いした菊池さんは相変わらずエネルギッシュで、もしかしたら10年前よりもパワーアップしてるのかなと思うぐらい。

2003年にTAKEO KIKUCHIブランドのディレクションを後進に委ねて、今は『40ct & 525』という新しいブランドで自分の本当に好きなことをやっていらっしゃるからだろうか、非常にハッピーなオーラを感じた。

ところでこの『40ct & 525』(フォーティカラッツ・アンド・ファイブハンドレッド・トゥウッェンティファイブ、またはゴーニーゴと読む。ちなみに“525”という数字は菊池さんの誕生日である5月25日から来ているそうだ)は、菊池さんがTAKEO KIKUCHIでは、やりたくてもやれなかったことを表現したというラインアップで、満を持して昨年の10月に青山にオープンしたお店も本当に素晴らしい雰囲気の素敵なショップだ。(MAP

TAKEO KIKUCHIが20~30代の男性に向けたブランドだとすると、この『40カラッツ』は40~50代の世代に向けて、“最高の贅沢を日常に”というコンセプトで展開しているとのこと。

そういわれてみると、僕はこのゾーンにピッタリとはまる。

とくかく菊池さん自身が年に4回ヨーロッパへ買い付けに行って、本当に自分が欲しいと思うアイテムをセレクトして持ってくるという、まさにデザイナー菊池武夫による菊池武夫のためのセレクト・ショップという趣向。いってみれば“100%菊池武夫ワールド”なわけだ。

もちろんオリジナルのアイテムも含めてカジュアルからドレスまで、そしてレディースも含めて(これは菊池さんの理想の女性に着てもらいたいという、品が良くてセクシーなセレクション)ラインアップされているんだけど、セレクト・ショップとしては本当にコンセプトというか、テイストが一貫していて、多分どのアイテムを組み合わせても調和してしまうのではないかという感じ。

そこはやはり菊池さんのデザイナーとしての感性フィルターを通じて選ばれたアイテムだからだろうと思うけれど、素材や小物のディテールに至るセンスの良さが嫌味なく伝わってくる。

これでもかというギラギラした贅沢さではなくて、モノとしての質の高さというか、モノに対する愛着というか、そういう意味では巷のトレンドに左右されない本物のクオリティ志向のセレクションだ。

菊池さんのライフスタイル全般に対するポリシーが店全体で表現されているわけで、そこらへんにとってもパーソナルな気配を感じる。

実際、菊池さんもちょくちょくお店に顔を出すそうだから、ショッピングしてたらひょっこり御本人に遭遇ということもあるかもしれない。

デザイナーとユーザーの関係としては、より親密でダイレクトなやり取りになるわけで、これはやっぱりかなりの贅沢といって良いでしょう。

さて、肝心のインタビューでは、菊池さんが実は小池百合子環境大臣からの依頼で、例の“クールビズ”や“ウォームビズ”の打ち出しに深く関わっていたことや、今年のクールビスのポイントなどを伺ったんだけど、もう一つのポイントとして、今の日本の政治に対する思いや、ポスト小泉は誰が良いと思うか?なんて質問もしてみた。

菊池さんは、ご本人としてあんまり表には出されないかもしれないし、政治家に成るつもりも全くないそうだけれど、日頃から本当に日本のことを憂いていて、そういう意味で政治的な関心も意識も非常に高い。

普段から周りの若いスタッフにも、選挙に行く事の重要さや政治的な関心を持つ事の大切さを説かれているという話を聞いたことがあるけれど、そんな菊池さんに「ポスト小泉は誰が良いと思うか?」と訊いたところ、意外なことに「民主党の河村さんが良いと思う。」という。

それは何でかというと、「彼は多分現役の政治家で唯一『自分達は公僕だ』ということをハッキリ言っている。自分達は税金で食べさせてもらっています、国民のシモベですという意識を持っている数少ない政治家だ。」

「今の政治家や官僚にはこの意識が本当に欠けている。自分達が誰の為に仕事をしているのか、本来の意味が分かっていないから、税金や年金を平気で湯水のように無駄遣いしても平気なのではないか。」

「年に一度、我々は税金を納めるけれど、私は年に一度ぐらい、政治家や公務員が全員で“税金を納めていただいてありがとうございます。”と国民に対して御礼をいうぐらいのことはやったらどうかと思う。」

「そういう姿勢がなければ、今後も日本の政治の流れは変わらないのじゃないかと思うんですよ。」とおっしゃっていた。

なるほど確かにそうだ。ちょっと引き気味にこの国を俯瞰すると、お上やお上に仕える城内の人々と、城下や城外に住まう我々一般人との格差。年貢を納める人とそれを使う人という構造自体は、江戸時代からそう変わっていない。

「税金の使い道について、もっと国民は関心を持つべきだ。」というのは、以前この番組に出演いただいた軍事アナリストの小川和久さんのコメントだったけど、期せずして菊池さんからも同じ視点からの発言に成った。

小川さんは小泉さんの側近として、そして菊池さんも小池大臣に対するアドバイザーとして、直接的に現政権に関わりのある立場なわけだけど、そのお二人がそれぞれ異なる角度からにしても、税金をキーワードに「国民はもっと税金の使われ方に関心を持つべきだ。」とおっしゃているのは興味深い。

そうしないと、いつまでたっても賢い民主主義、成熟した民主国家にはならないということだろう。

今国会では憲法改正議論に伴って、国民投票の是非が問われているけれど、スイスのような直接民主制度を取り入れるのは無理だとしても、我々が直接政治のプロセスに関与する機会が増えることは間違いなく良いことだと思う反面、愚民政治やGHQの3S政策ですっかり洗脳されてしまった一般大衆に重要な決定権を与えるとすれば、前提条件として小川さんや菊池さんのいうような意識改革がなければ、結局ポピュリズムに引っ張られる形で政治が行われることを防げなくなるのではないか、という懸念もある。

そんなことを考えさせられるインタビューだった。

菊池さんとは時々しか会わないけれど、会えば必ずスゴク刺激を受けるしエネルギーをもらえる。

やはりタダモノデハナイ。Respect!

May 17, 2006 in Design, Ecology, Fashion, Media, Politics | Permalink

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