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Thursday, November 02, 2006

【一昨日のJAM ゲストはイーライセンスの三野明洋さん】

一昨日放送したJAM THE WORLDのゲストに、イーライセンスの三野社長を迎えて、日本の放送業界における新しい著作権管理の仕組みについてお話を伺った。

イーライセンスは、2001年10月に著作権管理事業法が施行されたことを受けて、民間団体としては初めて著作権管理業務をスタートした会社だ。

著作権管理というと、戦後60年間ずっとJASRAC(日本音楽著作権管理協会)が独占的に行ってきた。これは何故かというと、少し前まで著作権管理業務とは仲介業務法に基づき文科省が管轄する認可事業であり、JASRAC以外のものは触ることすら出来ない事業領域だったのだ。

以下はイーライセンスのHPからの引用:

 これまで日本の音楽著作権を管理する団体は、JASRAC(日本音楽著作権管理協会)しかありませんでした。しかし、2001年10月に新しい法律(著作権等管理事業法)が施行され、JASRAC以外でも著作権管理を行えるようになりました。その流れの中、民間初の著作権管理事業者として立ち上がったのが、我々e-Licenseです。

 以前は、著作権管理をJASRAC一社で行っていた為、権利者(作家・音楽出版者)は楽曲が出来上がると必然的にJASRACへ登録していましたが、これからは権利者自身が著作権管理事業者を選択することが出来るようになったのです。

アメリカの場合は、BMIASCAPという管理団体があって、それぞれが著作権使用料の徴収分配についてサービスの優劣を競い合っている。

たまたま僕は自分が関わっていた「INTERIORS」というバンドのレコードを、日本ではアルファ・レコードのYENレーベルからリリースし、一方で自分でディールをアレンジしてアメリカのWINDHAM HILLというレーベルからもリリースしていた関係で、当時WINDHAM HILLのディストリビューターだったBMGの推薦でALMO IRVINGという出版社を通じてBMIに楽曲の管理委託をしていた。

JASRACに登録しながら、なおかつBMIにも管理を委託したというのは前例がないと、当時JASRACからクレームがあったのを記憶している。

まぁそれはそれとして、当時僕が一番驚いたのは、BMIが作成したステートメントがJASRACのものとは比べ物にならないくらい詳細だったことだ。

たとえば、アメリカのどの都市でどの曲がラジオで何回オンエアされた。一回につき使用料はいくらなので合計いくら、みたいな情報が載っていて、これを見るだけで自分の楽曲がどういう地域で人気があるのかが一目瞭然だった。

一方でJASRACのステートメントは、ラジオ、テレビ、オルゴール(オルゴール!?)などのカテゴリーは全て一緒くたに成っているから、内訳がどうなっているのかなんて分かるわけが無い。まるでブラックボックスなのだ。

イーライセンスはこうした日本の著作権管理業界、といってもJASRACが一社しかない時点では業界というのも変だけど、ようするに寡占状態で全く競争原理が働いていない領域に従来とは異なるビジネス・スキームを持ち込んで、戦後初めて権利者に対して選択肢を与えた、という存在だ。

今回番組でイーライセンスを取り上げた理由は、このイーライセンスが新たに放送業界における著作権管理に乗り出したこと、そしてその管理モデルが従来のJASRACとどう違うのかを伺おうという趣旨だった。

従来放送局はJASRACと“ブランケット方式”といわれる包括契約を交わして、年間の楽曲使用料をまとめてJASRACに払っていた。JASRACは放送局から支払われた使用料を、年間何度か行われる独自調査の結果とレコードの販売実績に基づいて権利者に分配しているが、イーライセンスが提唱しているのは、放送局がイーライセンスの楽曲を使用するごとに、一回につきいくら、という形で放送局に支払ってもらう、というものだ。

イーライセンスの使用料規程

実はこれ、かなり画期的なことなのだ。

今までも放送局は番組でどの曲を使用したかについて、詳細なレポートをJASRACに提出していた。本来であればそのデータに基づいて分配金を算出してくれれば何の問題もないのだが、JASRACの場合、放送で使用されているのにも関わらず、使用料が権利者に支払われない、ということが多々あったわけだ。

これは結局、包括契約に基づいて支払われた使用料を“独自調査”によって分配していることからおきる現象で、この独自調査の実態は基本的にブラックボックスなのだ。

出荷枚数が明確で算定がしやすいCDやDVDに比べて、どの曲がいつ何回放送されたかという実態は、実は把握されていないのだ。

だから権利者が「自分の曲がさんざん放送されているのに、使用料が支払われていないぞ!」とクレームすると、何故かお金が振り込まれる、なんてこともおきるわけで、だったら最初からちゃんと払えよ、と云いたくなる。

実際にあるアーティスト(70~80年代に一世を風靡したポップ・グループ)は、自分達の曲が毎日のようにオンエアされているのに楽曲使用料が全く払われないことに腹を立て、ファンクラブを総動員して全国のラジオ放送をモニターし、アーティストのどの楽曲がどの放送局でいつ放送されたか、という情報をもってJASRACに迫り、結果的にまともな使用料を支払わせることに成功したという事例もある。

イーライセンスは、この問題を解消するために、簡単にいうと著作権使用料の徴収~分配の仕組みを「明朗会計」にしましょう、というアピールをしているわけだ。

これはこれで一石を投じるという意味では、大変意義深い。

今のところ、イーライセンスが放送に関して管理委託されている楽曲はエイベックスのアーティストを中心に1万数千曲というレベルなので、カタログの数から言うと果たしてどれほどの影響があるのか未知数だけれど、対抗軸としてイーライセンスのような管理事業者がJASRACの牙城に食い込もうという意気込みは充分に評価できる。

放送局にしてみれば、JASRACに包括で支払っているのに、別途イーライセンス管理楽曲分を支払う(実際はJASRACに支払う分からイーライセンス管理分を差し引くということなんだけど)ということに対する抵抗感はあるだろうから、もしかするとイーライセンスが管理する楽曲については積極的には使用しない、という事態を引き起こす懸念も否めない。

三野さんも、この問題をテーマにして放送に出演するのは初めてということで、非常に熱心にお話をされていたし、また放送直後にはエイベックスからJ-WAVEのエイベックス担当者に、「番組内容について詳細に報告してくれ。」という要請があったというから、業界関係者は三野さんの発言に注目していたはず。

個人的には、イーライセンスの活動は評価できるし応援もしたいけれど、はたして徴収能力はどうなのか?とか、本当に(今のカタログ数で)競争原理が働くほどの影響力があるのか?という点については疑問も残る。

しかし、いずれ全ての放送媒体はデジタル化され、したがって実態を把握しづらい(とはいっても、日本にはアメリカのように何千というステーションがあるわけではないので、JASRACがトップオフしている手数料をもってすれば、人海戦術でも何でも使って全放送局の番組をモニターするなんて簡単だろうと思うのだが・・・)といわれる放送使用楽曲データもシステマティックにリポートされるようになるはずだから、これまでの包括契約方式からイーライセンス方式に優位性が生まれるのではないかという期待はある。

November 2, 2006 in Business, Media, Music | Permalink

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Comments

katsさん、こんばんはです。

番組としては(自らも含めて)放送局を煽るつもりはそれほどなかったけれど、実際に「イーライセンス管理の楽曲は放送に使用しないかもしれない。」なんて真顔でいう向きもあるようなので、そういう意味で、構成作家が意図した質問にそうした意図が全く無かったとはいえないかもしれませんね。

ただし、僕自身はむしろJASRACの抱える問題をある程度語ることが出来たことと、イーライセンスの言い分を一応アピールしてもらったので、民間放送局の番組としては上出来かな~ぐらいに思っています。

まぁ、自己満足といえばそれまでですけどね・・・。

Posted by: a-key at Nov 7, 2006 12:17:23 AM

個人的には取り上げ方が放送局に対して敵対しているような煽り方をしているのが残念でした。
実際の放送を聴けばJASRACの方が圧倒的な権力によってやりたい放題やっている事実が分かるのですが質問がまるで某ファンドや某携帯会社を扱うようなスタンスに少々がっかりしました。

まぁYoutubeをモニターする暇があったらもっと真っ当な事をやって欲しいものです>JASRAC

Posted by: kats at Nov 2, 2006 11:35:48 PM