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Wednesday, March 26, 2008

【JAMに小栗康平監督がゲスト出演】

小栗康平さんは、日本映画の宝であり良心である。

昨日放送したJAM THE WORLDのゲストに、現代の日本映画を代表する世界的名匠との呼び声も高い、小栗康平監督をお迎えした。         

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大袈裟ではなくて、小栗さんは黒澤明小津安二郎溝口健二勅使河原宏鈴木清順などなど、数々の名作を生み出して日本映画の輝かしい歴史を作り、今なお日本が世界に誇る巨匠たちの“映画作りの遺伝子”を、最も洗練された形で現在に受け継ぐ世界的名匠の名に相応しい映画監督だ。

現時点で一番新しい作品である2005年の「埋もれ木」は、とても言葉に置き換えることが出来ない、というか文章化が不可能な、まさに映画を観るという体験によってしか得ることが出来ない強烈なリアリティを持っている。        

           Photo

深夜一人でこの作品を観ていたら、何故か唐突に昔大好きだったタルコフスキー監督の「ノスタルジア」やフェリーニ監督の「インテルビスタ」なんかを、映画館で初めて観た時の記憶が蘇ってきた。

それはかなり長いこと忘れていた記憶というか、感覚とか感情とかがMIXしたもので、たぶん何十年ぶりかで蘇ってきたんだけど、「そういえば映画を観るっていうのは、こういう感じだったよな~」という、何だかとても懐かしい感覚。

「埋もれ木」を観るのは初めてなのに、懐かしく感じるのは何故なんだろう。

細部まで徹底的に作りこまれ圧倒的な情報量を持つ美しい映像と、それを三次元的に共振し増幅させる音像とが渾然一体となっていく。

映像も素晴らしいけど、加えて音響デザインが同じぐらい凄い。そのシーンの空気とか匂いまで感じさせるような音の数々。ほんとに丁寧な仕事をしている。

この辺りが小栗監督が名匠と云われる所以でもあると思うけど、幾重にも重なりながら織られていく音と映像のタペストリーとでも云えば良いのか。スクリーンやモニターの二次元的なフレームを超えて遥か彼方まで広がっている。

そこからは、一見静謐な印象なのに実はかなり強烈なエネルギーが放出されていて、その空間に居る者の視覚や聴覚はもちろん、その他あらゆる知覚・感覚器官を刺激しながら脳内に侵入してくる。

スクリーンに投射されている映像は、実はこうしたエネルギーを投射するためのツールであって、最終的には観る者の脳内で初めてイメージが生成されるわけだけど、たぶん脳内でイメージとして結像する階層が深ければ深いほど、普段は現れないけれど、そこに蓄積されている記憶の欠片と共鳴しあい、記憶と一緒に埋もれていた感覚や感情を活性化するのだろう。

「埋もれ木」というモチーフは、もしかしたらこういう原初的な記憶、つまり意識の地層の奥深くしまいこまれた潜在意識とか無意識とかの記憶領域のことを表しているのではないか。

「現在」と「過去」と「未来」がリニアに連続して繋がっているのではなくて、全てが同じ場所に同時に存在していて、観察者が観る角度を変えるだけで瞬時に次元が切り替っていく、そのタイミングが絶妙だ。

一般的には常套手段としてカットバックやフラッシュバックなんかで時間の流れをコントロールするわけだけど、小栗監督の紡ぎ出す時間はもっとオーガニックで、その変化のリズムやパターンが生理的に心地よいのだ。

一瞬も留まる事がなく展開して行く映像に身を委ねていると、いつの間にかその流れと自分の呼吸が相互にシンクロして共鳴しているような、何とも不思議な感覚を覚える。

「一つのシーン」、「一つのカット」を操ることで、これほど饒舌に語らせることが出来るなんて、その技は正にマエストロのものであって、ほとんどMAGICに近い。映画にしか出来ない、映画でしか表現できない何かがそこにある。

「結局のところ、映画は画像を観ることからはじまるんです。元々映画はサイレントからスタートしたんですから。」

「映画って、やっぱり画像と言葉が重なり合ったり離れたりして奥行きを作るものですからね、そこは、今こそ大事にして行かなきゃいけないと思いますね。」という小栗監督。

最後に映画監督を目指す人へのメッセージをお願いすると、「観るって言うことは、自分の目で観るしかない訳で、本来一人ぼっちなんですよ。」

「でもそのことに怯まないで、自分なりにジックリ観る・・・。そうあって欲しい。」という。

慎重に言葉を選びながら、丁寧に語る小栗監督のコメントは、あっけないほどシンプルで控えめだけど、作品での表現と同様に奥深い。

いや本当に久しぶりに「良い映画」を観せていただいた、小栗監督に心から感謝!

March 26, 2008 in Art, Film, Media | Permalink

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