【くじけるな!原監督】
Thursday, October 09, 2003
■男だって、泣きたいときがある・・・
東京ドームで何もしてもらえないという、これでもかという屈辱的な扱いを受けていた原(元)監督。10月7日のジャイアンツとしての最終戦は、どういう巡り合わせか伝統の「巨人阪神戦」。しかも場所は敵地甲子園だというのに、星野監督の男気たっぷりの計らいで、お別れのセレモニーがあったという。実は私、この日はJ-WAVEの生放送が入っていて、この様子を見ることが出来なかったのだ~!!こういうイベントはやっぱり生中継で一部始終を見ないとね・・・・。後から編集された映像を見ても、翌日の新聞の紙面を見ても今一様子が伝わらない。きっとかなりドラマチックだったんだろうな~と思うと、見れなかったのが悔やまれる。
ほとんどのメディアが感情を込めて伝えているとおり、この辞任騒動の渦中にあった原監督の気持にはかなり張り詰めたものがあったんだろう。同じ監督として現場で指揮をとっているものにしか分からない、どうすることも出来ない“リアリティー”を共有している星野監督が花束を渡しながらいったという、「近い将来、またユニフォームを着るやろ?まだ若いんだから、くじけるな。しっかり勉強せい。そして必ず戻って来い!」という言葉がどれほど心に染みたのか、本人以外には判るわけは無いけれど、これまで直接的に巨人軍フロントを批判することなく、堪えがたきを堪え、悔しさをこらえてきた原にとっては何と慈しみに満ちた言葉だったろう。
原とフロントの確執はそもそも松井のメジャー移籍がきっかけだったらしい。人気者の松井にメジャーへ行かれてはこまるナベツネ爺からは、原に「絶対に松井の移籍を阻止しろ。」という命令が下っていたという。もっと上を目指してどうしてもメジャーに行きたい松井の決意を、同じ野球選手として熟知していた原は、それでもあえてナベツネ爺に対しては何度も「大丈夫です。私が責任を持って説得します。」といっていたそうだ。
ところが、やはり結果的には「熟考の末」松井はメジャー行きを決意し、フロントは激怒。その怒りの矛先は、結果的に「説得できなかった」原に向かい、その為「チームの統率は原に任せておけない。」と判断したフロントは、今シーズンが始まる段階で、練習試合のスケジュールやスタッフィングなど、チーム運営の様々な局面で直接関与するようになったと伝えられている。
そんなこともあり、そして練習不足からか怪我人が多発した今年の原ジャイアンツは、シーズン途中戦績の低迷から、フロントに人事権を奪われ、新しく着任した球団代表に来期のチーム構想をはじめ、実質的な指揮権を剥奪された格好になってしまった。このとき、原は「これじゃまるで俺はチーママじゃねえか!」と激怒したらしい。
今回の一件で、原の置かれていた状況が千の言葉よりも雄弁に伝わってきたし、ジャイアンツOB達からも、「辞めるべきなのはフロントだ!」との怒りの声が上がっている。
スポーツは巨大なビジネスでもあるし、奇麗事では済まないことは山のようにあるだろうけれど、今回の原の辞任劇はその中で生きる人間のドラマとして、組織のヒエラルキーの中で生きざるを得ない多くの人々にとって、非常に分かりやすい「人情劇」であったのではないだろうか。
何となくエリート臭さが漂っていた原に対する見方もこれで大きく変わったし、好感度は相当上がったに違いない。そういう意味では、読売グループのオーナーとして長年に渡り権勢を誇ってきたナベツネのイメージは地に落ちたわけで、読売グループ以外のメディアにとっては、格好の叩きやすいキャラクターに成った。
来期の原はメディアから引っ張りダコに成って、好感度抜群のキャラクターとして今まで以上に人気が出ることだろう。しかし、それがジャイアンツの人気とは決して連動しないことは火を見るより明らかだ。なんせ、新監督は誰からも愛されることの無かった、「悪たれ」の堀内だもんね。“ザマミロナベツネ!はえ~とこ引退しろ!”と思うのは、私だけじゃないと思う。
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