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Monday, January 26, 2004

【小泉総理 『バカの壁』を読む】

■テレビ朝日の世論調査によると、国民の55%は自衛隊のイラク派遣を支持するものの、75%は小泉総理の説明は充分ではなかった、と考えているという。

記者から、この“説明不足”について聞かれた小泉総理は、「う~ん、『バカの壁』、読んだんですけどね・・・。難しいよね、話せば分かるように話すっていうのは・・・。」とノタマワッテいらっしゃいました。

これを解説すると・・・。
「国民は“バカ”だから、いくら僕が説明してもわからない。」とおっしゃりたいのだろうと拝察いたします。

それとも、いならぶ記者諸君のマイクの放列が『バカの壁』に見えたのでしょうか?

そういえば、国民の代理人として貴重な会見の機会を与えられている聡明なる記者諸君からは、何の突っ込みもなかったようです。

きっと、小泉総理の発言に深く賛同して「ダヨネ~(死語)!」と思われたのでせう。

それにしても、説明不足で理由が良く分からないのに、どうして自衛隊の派遣に賛成できるのでせうか??

そこのところ、どうしても分からないのは、やはり僕もバカだからでせうか??

小泉先生、いったい僕達はどこまでバカなのでせう?

そこのところ、バカにも分かるようにバカみたいにヤサシク、教えていただけませんでせうか?

それともセンセイ、ひょっとしてほんとうはあなたもどうしてこのせんそうがおきたのかりゆうがおわかりにならないのではないでしゅか・・・?

まあ、冗談はこのぐらいにして・・・・。

『バカの壁』の核心は、「人間は同じ辞書を持っていないと相互に理解することは不可能だ。」という極めてドラスティックな現実だ。言葉は悪いが、色覚異常の人に「赤い色」を説明することは出来ないように、人間は共通の受容体を持っていない限り、どうあがいても現実の認識を共有することは出来ない。

後天的であれ先天的であれ、人間は生まれ育った環境でこの「認識のセッティング」=「知覚の辞書」を手に入れることになる。現実の解釈はそのセッティングに依存する以上、人間の数だけ解釈が存在するといっても過言ではない。

その意味で、小泉氏が思わず口走った『バカの壁』の引用は、自ら国民と共通の辞書を持っていないことを吐露したことに他ならないし、それを認めることで自己肯定をしようという試みなのだろうと思う。

養老氏がいみじくも『バカ』という言葉を使ってこの現実をカリカチュアしたのは、単にポピュリズムを狙っただけではなく(そういう側面もあるかもしれないけれど)、この情報過多の時代において、相変わらず人間は理解不能の問題に対しては如何にしても無能である現実を慙愧の念を持って切り捨てているのではないかと僕は思う。

小泉氏が実際に『バカの壁』を読んだかどうかは分からない。ひょっとしたら帯のコピーを見ただけかもしれない。しかし、これまでも度々古典を引いて状況を断定するおそらく読書家である彼の手法を考えると、『バカの壁』を読んで、「我が意を得たり!」と歓喜した可能性は高い。

だからといって、こういう状況下で自らの説明不足を『バカの壁』になぞらえるなんて、よっぽど神経を疑う。

そう、『バカの壁』は双方向なのだ。

January 26, 2004 in Books, Media, Politics, Television | Permalink

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Tracked on Jan 28, 2004 7:29:31 PM

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