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Thursday, March 18, 2004

【週刊文春の出版差し止めはテストでは?】

■今回の週刊文春の出版差し止めは、ひょっとしたらケース・スタディなんじゃないか?

全くの個人的な意見だけどね。今回の出版差し止め仮処分には、何だかとても不穏なものを感じる。プライバシー保護という観点からの判断だとはいうけれど・・・。このニュースの第一報を報じた朝日新聞の記事によると「週刊誌の発売前日に出版禁止の仮処分を命じられるのは異例だ。」という。

一方で、出版社の文芸春秋は「今回の販売差し止めの仮処分決定は、わずか一人の裁判官が短時間のうちに行ったもので、暴挙というほかなく、とうてい承服できない。」ということで、早々仮処分に対する保全異議を申し立て、認められなければ東京高裁に保全抗告を申し立てる方針とのこと。

僕はどう考えても出版差し止めは行き過ぎだと思うんだけど、それはこの記事がどうのこうのということではなくて(実際に報道する必要があるニュースとは思えない)、“たった一人の裁判官の判断で出版直前にこの仮処分が決定できた”という部分。こんなことがまかり通ってしまうと、本当に大切な局面で重要な報道が出来なくなる可能性がある。本来のジャーナリズムが持っている“権力を監視する”という機能を奪い取ってしまいかねない。そうなればシビリアン・コントロールなんて絵に描いた餅だ。

そういう意味では、プライバシーの保護というのはあくまでタテマエで、本当の狙いは今回のような処分を下した場合、メディアや一般大衆はどういう反応をするのかを調べるためのケース・スタディなのではないか、と僕は疑っているんだけど・・・。

“言論統制”や“官製報道”という言葉がフラッシュバックする。メディアや言論人はここで適切な対応をしないと、将来後悔する事に成るような気がして成らない。

March 18, 2004 in Books, Media, Politics | Permalink

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Comments

Spookyさん、

たまたまFMでニュース系番組を持たせてもらっている関係で、普段からスポンサーがらみのニュースなどに対しては適切な対応をするように、と放送前に局側から微妙な要請が来たりします。

生放送だし、僕が不穏当なあるいは不適切な発言をしかねないと思っているのか分かりませんが、僕も普段は“大人の対応”を心がけているのです。

そんな訳で、ラジオとはいえ、まがりなりにもメディアに関わるものとして今回のような措置には生理的に敏感に成ってしまいます。

御指摘のとおり、田中真紀子氏の家族というだけで様々な憶測が飛んでいますし、しかし一方で純粋な私人のプライバシーを侵害するような公共性のない報道は問題がありますから、文芸春秋側に何の落ち度もなかったとはいえないでしょう。

しかし今回の出版差し止めの経緯はかなりイレギュラーなものを感じますし、充分に検証する必要があると思っています。

Posted by: a-key at Mar 19, 2004 5:33:37 PM

>本来のジャーナリズムが持っている“権力を監視する”という機能を奪い取ってしまいかねない。
全く同感です。長女は私人だからプライバシーの侵害に当たるとのことですが、全く普通の人が発売前の雑誌の内容を知ったりできるでしょうか?裁判所や関係機関に特別な計らいをしてもらってすでに刷り上がってる雑誌をこうも強引にごく短時間の間に発禁にしたりできるでしょうか?
これらは全て、長女が権力に近い位置にいてその権力を行使したからできたことだと思います。私人であると主張するのならこのような大きな権力を全く私的なことに使ってもいいのでしょうか?
この事件は雑誌社のモラルよりもむしろ権力を持つ人のモラルの方が問われているような気がします。

Posted by: spooky at Mar 19, 2004 8:03:39 AM

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