【話題の新刊本“PLAN of ATTACK”をプレビュー】
Tuesday, April 27, 2004
■イラク戦争開戦に至る裏側を描いた話題の新刊本『攻撃計画(PLAN of ATTACK)』のアウトラインがワシントンポストのウェブサイトに掲載されていた。
著者のボブ・ウッドワード氏はこのところ連日テレビのインタビューに登場している。彼はウォーターゲート事件のリポートでリチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込んだジャーナリストとして知られているが、彼の前著『ブッシュの戦争(BUSH at WAR)』に増して、今度の作品はタイミング的にも、内容的にもセンセーショナルなもののようだ。
早く読みたい、あるいは今すぐに内容を知りたいという読者の気持を察してか、ワシントンポストでは独占でこの本のアウトラインを掲載している。
もちろん全文英語だけれど、彼の文章はとても読みやすいし、関係者に対する徹底的なインタビュー(ブッシュ大統領に関しては3時間半程度)を行って描かれているだけあって、「まるでその場に居るような」臨場感があって読み物としても面白い。
興味深いのは、意外なことにこの本をブッシュ陣営が「推薦図書」としていること。こうした暴露本は、これまで前オニール財務長官やクラーク前大統領補佐官などの“身内”が出版してきたが、その都度ホワイトハウスは著書の内容だけでなく、著者の個人的な資質を攻撃して反論してきたが、あまり良い結果を生んでいないということから、今回はむしろ推薦することで、ブッシュ大統領の実像をアピールするという戦略を取っているようだ。
An administration official said Bush aides had learned from their failure to squelch critical books by ignoring or attacking them. So, the aides decided that not only would they not attack Woodward's book, they would promote it. They concluded that the book -- with index entries that included "Bush, George W.: absence of doubt in . . . optimism of . . . patience of . . . reluctance to go to war of . . . as strong leader" -- largely portrayed him the way they liked to portray him.もちろん、本の内容はブッシュにとって好意的なものばかりでなく、むしろ「ブッシュ政権は戦争の大儀をでっち上げてイラク復興事業の利権と中東支配の為にイラク侵攻を決定した。」という反ブッシュ陣営の主張を裏付ける部分も多いのだが、その為ケリー民主党候補をはじめとして、反ブッシュ陣営もこの本を推薦して自分達の主張の傍証としている。
大統領選挙に向けて双方が自分達のアピールに引用するこの本。とても奇妙な感じがするけれど、“真実は一つだけではない“と考えると、それだけウッドワードの筆力がこの戦争の複雑な実相を多面的且つ客観的に捉えていて素晴らしいということだろう。
良記事ありがとうございます。リンク先の「ワシントンポストのアウトライン」を読むと、ブッシュ大統領のインタビューは、"more than 31/2 hours" とあるんですが、多分、"more than 3 and half hours" であろうかと…
Posted by: Dain | Friday, May 21, 2004 at 07:13 PM