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Thursday, July 08, 2004

【映画“華氏911”の社会的インパクト】

■マイケル・ムーア監督が7月4日から彼のブログ『Mike's Blog』をスタートした。今まで無かったのは意外。

現時点でまだエントリーは二つだけだけど、これまでのMessageのセクションより軽めの“日記”に成っている。ただし、見たところコメントやトラックバックの機能は付いていないようなので、彼にメッセージを送りたい人は今まで通りのアドレスへ送るしかないみたい。

ところで、昨日配信された彼のメール“My First Wild Week with "Fahrenheit 9/11"... ”を辿って久しぶりに彼のオフィシャル・サイトを覗いてみた。

というのも、このメールでムーア監督は『華氏9/11』が公開されてから一週間の成果の一部を発表しているんだけど、本当に凄いことに成っているようだ。例えば・・・

** More people saw "Fahrenheit 9/11" in one weekend than all the people who saw "Bowling for Columbine" in 9 months.

** "Fahrenheit 9/11" broke "Rocky III’s" record for the biggest box office opening weekend ever for any film that opened in less than a thousand theaters.

** "Fahrenheit 9/11" beat the opening weekend of "Return of the Jedi."

** "Fahrenheit 9/11" instantly went to #2 on the all-time list for largest per-theater average ever for a film that opened in wide-release.

まあ、ディズニーによる配給拒否やカンヌで最高賞パルムドールを受賞したことなんかがあって、この作品に対する注目度が高かったことは間違いないけれど、実際に公開されてから巻き起こっている反響は既に社会現象といっても良いような気がする。

「ひょっとしたら、この作品は世界を(少なくともアメリカを)変えるかも知れない・・・。」まだ観ていないこの作品に対する興味からムーア監督のサイトにある作品に対するコメント集を読んだり、上映している劇場の周辺を撮影したスナップショット集を眺めていたら、そんな気がしてきた。

公開直後からアメリカ各地でチケットがソールドアウトに成ったり、上映終了後にカンヌと同様にスタンディング・オベイションが沸き起こったりしていることを証言するコメントが、全米の老若男女、民主党員は勿論、共和党員や無党派層、そして軍関係者から大量に寄せられている。しかも、これはブッシュの故郷であるテキサス周辺の地域も例外ではない。

上映後の劇場は泣きながら拍手する人や、あまりの衝撃に椅子から立てずに考え込んでしまっている人、見ず知らずの人同士が映画の感想を語り合い、初めて知らされたイラク戦争の真相(あるいはそれに近い実相)を目の当たりにして怒りをあらわにする人・・・。上映が終了してもなかなか人々が退場しないので入れ替えに苦労しているというエピソードもある。

いわゆる“目からウロコが落ちる”体験が集団的に起こっているんだろう。

「こんな体験は初めてだ。」というコメントが異常に多い。ひょっとしたら本も新聞もあまり読まない、ニュースというとテレビのしか観ないという一般的なアメリカ人にとって、この作品で提示されている情報(そのほとんどは既に様々な著作で公表されている事実ばかりだそうだが)の多くは、現実の認識が一気に変容してしまうような,まさに衝撃的なカタルシスに満ちていたに違いない。

「これまではブッシュを批判することはタブーだった。」という南部のある町では、レストランやスーパーのレジなど至る所で人々がこの映画について語り合い、既に観た人がまだ観ていない人にチケットを買い与えて観に行くことを勧める、なんていう現象も起きているらしい。何だかホノボノとした、いかにもアメリカの片田舎で起きていそうな話。現象面だけを見ると、1969年にウッドストックで花咲いたイノセントな共感主義みたいなものを感じる。

この映画に対する反響が果たしてどの程度大統領選挙に影響するのかわからないけれど、多分、今まで政治に無関心だった人たちが投票するきっかけに成るだろうし、元々ブッシュ支持だった層に対する影響も少なくないだろう。右も左も共和党も民主党も人種も性別も区別なく、“アメリカの良心”に訴えること。それこそ、ムーア監督が目指していたことに違いない。

政治的な意図を持った映画作品が、ここまで大きな社会的インパクトを与えたというのは前例が無いのではないだろうか?もちろんこの反響に一番驚いているのは当のムーア監督自身。もし11月にブッシュが大統領の座を追われることになれば、マイケル・ムーアがその一端を担っていた、と評価されることになるのは間違いない。

恥ずかしながら、このサイトのコメント集を読んでいて僕はちょっと鳥肌が立った。まだ映画を観たわけでもないのに、こんな体験は初めてだ。

July 8, 2004 in Film, Politics, Weblogs | Permalink

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Comments

ムーア監督の映画はほんまに面白くてばかばかしい。 道徳を持ってない、どんな嘘を言っても構わない人をどうして取り上げるんですか。 この映画にせめて56回も嘘をついています。
http://www.davekopel.com/Terror/Fiftysix-Deceits-in-Fahrenheit-911.htm

野中さんが騙されないように。

Posted by: daniel at Jul 16, 2004 5:47:05 PM