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Sunday, March 12, 2006

【PET検診の効果を疑え】

■がん早期発見の真打といわれているPET検診の実態は「未検出が85%」(YOMIURI ONLINE/医療と介護

自分の身近な人がガンを患ったり、亡くなったりしている人にとっては、かなりショックなニュースではないだろうか。しかもこれは国立がんセンターの発表だ。

 小さながんでも発見率が高いと言われ、約100か所の医療機関に導入されている画像診断装置PET(ペット、陽電子放射断層撮影)。多くの施設でがん検診にも使われているが、国立がんセンター(東京)の研究で、がんの85%が検出できなかったことが分かった。「PETで異常がないからといって安心するのは危険」と専門家は指摘している。

一般的な認識としては、「PET検診さえ受けておけば安心」というイメージがある。健康な人が受ける場合は自費に成るけれど、決して安くはないから、どちらかというと富裕層向けの医療サービスという印象だ。そういえば、「私なんか毎年PET検診受けてますから。」なんて自慢する人も居る。ところが・・・・だ。

 国立がんセンターに設置された「がん予防・検診研究センター」では、昨年1月までの1年間に、超音波、CT、PETなどを併用した検診を受けた約3000人のうち、約150人にがんが見つかったが、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)に過ぎなかった。

 従来、組織に水分が多く糖が取り込まれにくい膀胱(ぼうこう)、腎臓、前立腺、胃などのがんは、PETでは見つかりにくいとされてきた。日本核医学会が2004年にまとめたPETがん検診の指針でも、がんの検出に「非常に有効」とされたのは、甲状腺や顔、首などにできる頭頸(とうけい)部がんと悪性リンパ腫(しゅ)の2種類しかない。

 ところが、この指針で「有効性が高い可能性がある」とされている肺がん、大腸がんのPET検診にも、国立がんセンターの調査では、効果に疑問を投げかけるデータが出た。大腸がんが発見された人のうち、PET検査でがんが分かった人は13%、肺がんでも21%にとどまった。

もちろん、検出率が低いからといって、直ちにPET検診の有効性を否定する訳にはいかないだろうけれど、医療機関や保険会社はPET検診が万能であるかのごとく宣伝している傾向があるのも事実。

そういう立場から見れば、このニュースは営業妨害に当たるかもしれないが、果たして早々に「PET画像検診フォーラム」という組織から、この読売の記事に対する反論が出されている。

1. タイトルが過激で「PETでは癌の85%を見逃し、15%しか分からない」という誤解を生じる。

2. そのことにより、PETという癌の診断に極めて有用な検査の普及の障害となる。

(1) 検診の機会を逸する可能性。

 全国のPET検診を行っている施設では、PETの限界を踏まえ、核医学会のガイドライン(http://pet.jrias.or.jp/index.cfm/48,446,99,html)に沿って検診を行っており、PET単独での検診は限られています。

 記事ではそのことに触れておらず、あたかも全国で行われているPET検診が多くの癌を見逃しているかのように誤解されます。

 実際は、他の検査も含めた総合検診で行われることが多く、たくさんの方の癌が発見され、命を救われています。

 こうした早期発見される可能性のある方たちが、この記事を見て誤解し検診をやめてしまう恐れがあります。つまり、癌の早期発見の機会を逃してしまう懸念があります。

(2) 検診ではなく診療(癌の診断)のレベルを低下させてしまう可能性。

 PETが癌の診断に有用で、いくつかの癌ではPETをしないまま治療方針を決めた場合、誤った治療法を選択する危険性があります。例えば、肺癌などではPETにより思わぬ転移が見つかる確率が20%程度といわれています。つまり、手術適応例が適応外になるわけです。

 今回の記事により、癌の患者さんはもとより、核医学専門医や放射線科以外のPETの有用性をよく理解していない医師たちが、「PETは役立たない」という認識を持ってしまった場合、治療前にすべきPET検査をしないケースも起こりえます。すなわち、医療レベルの低下が引き起こされ、ひいては患者さん、国民全体の不利益となるのです。

(3) 上記二つのことは、誤解を生ずるような医療記事を紙面に出したことにより、「適切な医療を受ける機会を奪われてしまった」と訴訟の対象になるかもしれません。

「訴訟の対象に成る」という厳しい批判だけれど、内容を読むともっともな主張だとも思える。ただし、読売の記事によると『PETを検診に使っているのは、日本のほか韓国、台湾ぐらい。欧米では、がん検診への有効性が示されておらず、実施されていない。』ということだから、この記事を読む限り、PET検診を100%有効なものだと盲信することに対する一定のブレーキは必要な気がするけれど、どうだろうか。

March 12, 2006 in Current Affairs, Science | Permalink

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