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Wednesday, March 15, 2006

【PSE法 対応策にもブーイングの嵐】

■昨日放送したJAM THE WORLDで、再びPSE法を取り上げた。

おりしも、放送当日になって経済産業省から“ビンテージもの”の電子楽器や音響機器などに限ってPSEマークが無くても売買できるようにするという対応策が出されたので、先々週の特集に続いて再びこの問題を取り上げることになった。

今回の譲歩案はおそらく、というか間違いなく日本シンセサイザープログラマー協会(JSPA)が行った署名活動が影響したのだろうと思う。なんせ、JSPAが集めた74,987名分の署名(実は僕もその中の一人なんだけど)を要望書と一緒に経産省に提出する直前という絶妙のタイミングで発表されたわけだから、どう考えてもこのアピールに対応したんだろうな~という感じ。

とはいうものの、少なくとも「一切変更しない」と断言していた頃から比べれば、法律の運用を柔軟に行おうというジェスチャーには違いないので、変化があったこと自体は素直に喜びたい。

なんだけど、やっぱりこの譲歩案慌てて付け焼刃的に策定したのが見え見えで、署名活動で反対をアピールをした当のJSPAのメンバーからも、そしてシンセサイザーや電子楽器と関係のない一般の家電製品などの中古品を扱っているリサイクル事業者からも、この譲歩案そのものに対する困惑と非難の声が上がっている。

 規制除外品の選定法にも疑問が残る。リサイクルショップ・素人の乱5号店(東京都杉並区)の松本哉店長は、「電化製品の安全を守るための法律なのに、ビンテージ品だけ除外というのはおかしい。『レアものだから安全』とは言えないはず」と語り、一部を例外認定するならば、旧法(電気用品取締法)で安全と認められた中古品全般を除外対象として認めるべきと訴える。

 中古楽器のPSE法適用除外を求めてきた日本シンセサイザープログラマー協会(音楽家の坂本龍一さんらが所属)も、ビンテージ品だけでなく、中古楽器すべてを除外対象とするよう求めており、経産省との溝は埋まり切っていない。

 清進商会の小川店長は「法律の条文には『中古品も対象』とは書いておらず、中古品に規制がかかるのがそもそもおかしい」と指摘し、法解釈を改めて見直すべきと訴えている。

という状況を受けて、番組に御自身もリサイクル品を取り扱っている事業者であり、「PSE問題を考える会」の発起人でもある小川浩一郎さんに電話で登場していただいた。

小川さんによると、そもそも今回の譲歩案で対象に成っているのが“ビンテージもの”の電子楽器や音響機器ということで、生活必需品ではないこうした製品が除外されても、中古リサイクル業者がPSE法から受ける影響はほとんど変わらないということ。

季節的にはちょうど新入学生や新社会人が生活用品を買い集めるためにリサイクルショップを利用する時期。そうでなくとも、単に高くて新品が買えない人たちが生活必需品を購入する際に利用するリサイクルショップは全国で50万店あるそうだけど、これらのショップが抱えている在庫の4割近くがPSE法の規制対象に成って売れなく成ってしまうそうだ。

そういう現実を知ってるかどうか分からないけれど、経産省は検査機関を全国500箇所用意して、6ヶ月間は無償で検査して事業者の負担を軽減するという計画を提示している。

経産省は、添付に必要な届け出書類を簡素化するほか、全国500カ所以上で検査を受けられる体制を遅くとも6月までに整え、中古事業者の負担を軽減するとしている。

 製品技術基盤機構などで検査用機器の無料貸し出しを行うほか、電気保安協会などの協力を得て今後半年間、出張検査サービスを無料で提供する。都道府県や市町村の公設試験所にも受託検査の実施や機器貸し出しなどを要請し、民間団体にも協力を仰ぐ。

しかし小川さんによると、リサイクル品は右から左に仕入れたら売るという状況なので、無償で出張検査してくれるといったって、例えば月に一度検査してもらっても、その間は商品を売ることが出来ないので全く非現実的なんだそうだ。

しかも、「何万とあるリサイクル店の総数を考えると、一体500箇所でどうやって対応しようというのだろうか?」という。確かにそうだ。

小川さんは、「とにかく一旦延期してもらうか、電子楽器だけとかではなく、法律が施行された2001年以前に製造されたものは全て対象外にするとかしないと、解決にはならない。」という。

さらに、自主検査でPSEマークをつけることについても、これが結果的に製造者と同じ責任を負うことになるので、「やれといわれても怖くて出来ない」とのこと。

でリサイクル業界の現状はどうかというと、「もうほとんどの業者が人員の整理(解雇)をしたり、廃業したりしている状況」で、ただでさえ中小零細企業が中心の業界としては存亡の危機。まさに死活問題に成っているそうだ。

可処分所得が低い社会的弱者の拠り所として機能しているリサイクル流通に著しい影響があることは間違いない。小川さんは「一体誰のための法律なのか?と言いたいですよ!」とおっしゃっていた。(まぁ、検査機関なんかに天下る役人どもの為にはなっているのだろうけれど・・・)

「持続可能な社会の実現」=「循環社会の実現」=「あらゆる製品のリサイクル」というモデルがようやく認識されはじめたところに、この法律。

まだ使用可能なモノが売れなくなることで大量に廃棄されることは、「もったいない」だけではなく環境にも非常に悪いのは自明の理だけれど、それ以上にこの法律が特定の階層や業界に与える影響はあまりにも理不尽で、あまりにも惨い。

あんまり考えたくはないけれど、万が一今から半年後ぐらいにリサイクル業界関係者の中から自殺者が続出なんてことに成ったら、経産省はどういう責任を取るのだろうか?(まぁ、取らないだろうけどね・・・)

色々問題はあるにせよ、日本の役人は基本的には優秀なんだろうと思っていたけれど、このPSE法に関しては、その策定の段階から現在に至るまで、全くこういう事態が起きることを想定していなかったとしか思えないボケぶり。

それとも、もしかして本当に天下り先をでっち上げるのがメインの目的だったから、そこまで考えが至らなかったのだろうか?まぁそうでないことを祈るけれど、この法律の目的と動機には何か胡散臭い感じが付きまとう。

こんな出来損ないの法律が産まれた理由は想像力の欠如といえばそれまでだけど、もしかしたらこれ立案した人物はリサイクルショップのお世話に成ったこともなければ、その実態やあるいは存在すらも知らなかったのではないかと思えてくる。

とにかく、小川さんの話を聞いていたら、自分でもまだこの問題のシリアスさを理解しきれていなかったんだと反省しきりだった。

インタビューの最後に「JSPAの活動は確かに音楽家が中心だったから、いきおい特定の機器に対するアピールと成ったわけだけど、やはり自分に直接利害があることに対してアピールするというのは極自然なことだと思うので、是非小川さんたちにも頑張っていただいて、現場の生の声をストレートに国に届けてもらいたいと思います。」と申し上げたけれど、これは何もリサイクル業界関係者だけの話ではないわけで、我々一般の消費者も主体的にアピールする必要があるかもしれない。

March 15, 2006 in Business, Current Affairs, Ecology, Economy, Music, Politics, Web Culture | Permalink

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