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Wednesday, April 26, 2006

【DAYS JAPAN 広河隆一さんにチェルノブイリの現状を訊いた】

■昨日放送したJAM THE WORLDで、DAYS JAPAN広河隆一さんにチェルノブイリの現状を訊いた

Sekikan

ちょうど今日は人類史上最悪といわれるチェルノブイリ原発事故が起きてから20年目。

そこで、つい最近現地に行って取材をしてこられたフォト・ジャーナリストの広河隆一さんに、20年後の現地の様子を訊いてみました。

広河さんには以前2004年の3月、ちょうどDAYS JAPANを創刊されたばかりの頃にも、番組にゲストでお招きして出版に籠めた思いを伺ったたことがあります。

「世界を視る、権力を監視する写真中心の月刊誌」を標榜するDAYS JAPANですが、「一枚の写真が世の中を変える」という信念のもと、現在も毎月素晴らしい雑誌を世に送り出しています。

扱っているテーマはどれも通常マスメディアが触らないようにしているハードなものばかりで、フォト・ジャーナリズムの鑑ともいえるその姿勢には敬服するものがあります。

その広河さんが最近チェルノブイリに取材に行かれたとのことで、お話を伺うことに成ったのですが、現在も立ち入り禁止というか、退去勧告されている半径30KMのエリア内に入って、あちこちを回ったそうです。

事故自体は20年前のものですが、この禁足地のいたるところには未だに通常レベルの数100倍から数1000倍(!)という高レベルの放射能が検出されるそうです。

TBSの報道番組では「放射能レベルは東京の5~10倍」とか云っていましたが、広河さんによると放射能レベルにはバラつきがあり、この半径30KMのエリア内のみならず、遠くは数百キロ離れた地点にも、当時の風雨の関係で高濃度の放射性物質が降下~蓄積された箇所が数多くあるとのこと。

ロシア当局は、被爆による被害はほとんどないという公式見解を発表しているようですが、「実際は当時まだ子供だった人たちが成人に成り、若年性のガンや、早産などの妊娠障害など、様々な後遺症に悩まされていて、さらには事故後に妊娠~出産した子供達にも様々な障害が発生している。」との事。

しかも、「現在こうした被害者達に対する支援が経済的な理由(一説には毎年700億円相当)からどんどん削られていて、まともな医療が受けられない状態であること。そしてそもそもウクライナでもロシアでも、この問題をタブー視して『あの事故は無かったことにしたい。』という雰囲気がある。」のだそうです。

個人的なことですが、僕は20年前のあの日の事を鮮明に覚えています。

ニュースの第一報を聞いてから数時間後には、日本にも放射線物質が飛んでくるということだったのですが、ちょうどその時刻に都内で小雨が降り始めて、僕は愛機ビアンキのロードレーサーに乗って西馬込あたりを走っていたのですが、「もしかしたらこの雨に放射能が含まれているかも?」という漠然とした恐怖感から、顔に降りかかる雨粒にビリビリした奇妙な刺激を感じたのです。

もちろんそれは僕の想像の産物だったわけですけれど、それでも産まれて初めて「放射能の恐怖」を感じた瞬間でした。

当時僕は日向大介とインテリアズというユニットで音楽をやっていましたが、その鮮烈な恐怖の印象を記録に残そうと思って、その夜帰宅して一気に「GAIA」という曲を書き上げました。(というかプログラミングですけど・・・)

この曲が1曲目に収められているアルバム「DESIGN」(WINDHAM HILL / PONY CANION)は既に廃盤に成っていますが、そんな訳で僕の記憶の中でチェルノブイリは特別な感情を呼び起こすものに成っています。

それまでは、広島長崎のことも勿論知っていたし、たまたま機会を得て広島・長崎それぞれの原爆資料館にも行った事がありましたから、概念的に原子爆弾に対する知識というものはありましたけれど、放射能という目に見えないものを身近に感じることはなかったわけです。それは僕だけでなく、ほとんどの人がそうなんだろうと思います。

チェルノブイリでこれが一変しました。

世界中の人が、この事故の報道を見て“放射能の恐怖”を身近に感じたはずです。実際に、事故から数時間後には北半球のほとんどの場所で放射能の飛来が観測されました。

その後、ヨーロッパでは放射能汚染された食品をはじめ、ありとあらゆるものの輸出入に制限が設けられ、爆発事故そのものの被害だけでなく、二次的な汚染被害の影響が中長期に渡って世界中に広がったのです。

ところが恐ろしいもので人間は忘れる動物。僕自身も今回20年という節目をむかえて各報道機関が現地の現在の様子を伝えるまでは、チェルノブイリのことを完全に忘れていました。

しかし、チェルノブイリの事故は“未だに活きている”のです。

広河さんによると、「チェルノブイリの事故は、未だに本当の原因も特定されていないし(設計上の問題や人為的操作ミス、また最近では小規模の地震がキッカケに成ったという説もあり)、もっと問題なのはどうやって消火したのか、どんな物質を投入して鎮火させたのか分かっていない。」とのことで、「もしまた他の原子炉で同じような事故が起きても、その対応の参考に成るような情報が全く得られていない。チェルノブイリは未だに謎のままで、教訓も生かされていないのです。」というのです。

あれほどの重大事故だったのだから、当然徹底的に原因を究明して、その知識が活かされているのだろうと、僕は勝手にそう思っていました。しかし現実は全くそうではなかった。

現在“石棺”と呼ばれる4号炉は、当時慌てふためいてコンクリートと鉄板で放射能という恐怖を封じ込めようとした。そしてそのとき、放射能と共に原因究明の可能性も一緒に閉じ込めてしまったのです。

しかしその石棺を覆うコンクリートも鉄板も、今では老朽化してあちこちがひび割れ、放射能が漏れ出しているとの事。

ウクライナのユフチェンコ首相は、事故から20年目という節目を迎えて「チェルノブイリの負の遺産を清算し、原子力発電の推進へ舵をとる。」と宣言してたそうです。

ロシアからの真の独立を考えると、ウクライナとしては自前のエネルギーを得るための手段として原子力発電を選択せざるを得ないということでしょう。

また、今は全く活用されていないかつての汚染地域を、農業などで有効利用しようという動きもあるそうですが、いずれチェルノブイリで生産された農作物や食肉が流通するように成るのかもしれません。

広河さんの写真を見ていると、なんだかチェルノブイリの亡霊が棺桶の蓋を開けて我々に何かを呼びかけているような気がしませんか?

■参考リンク:

チェルノブイリ原発発事故20年、ウクライナで追悼行事 (CNN

疫学調査の見通し立たず チェルノブイリ事故20年(asahi.com

「チェルノブイリ」20年、今も事故処理終わらず (NIKKEI NET

April 26, 2006 in Ecology, Media, Politics, Science | Permalink

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