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Tuesday, May 23, 2006

【ロバート・レッドフォードとSir リチャード・ブランソンの共通項は代替エネルギー】

■週末にCNNを観ていたら、ラリー・キング・ライブにロバート・レッドフォードとヴァージン・グループの総帥Sir リチャード・ブランソンが出演していた。(CNN.COM

この二人が出ているということは、てっきりエンタメ系のネタかと思いきや、この日のテーマはなんと「アメリカの石油中毒」である。

不勉強で知らなかったのだが、ロバート・レッドフォードは熱心な環境活動家で、最近は「E85」という、エタノールが85%含まれた混合ガソリンの普及キャンペーンをサポートしているそうだ。

詳しくは、「E85」の有効性をアピールするサイト「KICK THE OIL HABIT」に載っている。

このキャンペーン・コピーは、今年の年頭に行われたブッシュ大統領の一般教書演説での「アメリカは石油中毒なのです(America is addicted to oil)」という発言に呼応して、”石油中毒を止めよう”とアピールしているわけだ。

番組の冒頭に登場したレッドフォード氏の主張は、同じく番組にゲスト出演しているアメリカで二番目に大きいエネルギー総合企業でオイル・メジャーの雄、シェブロンのオライリー会長兼CEOを向こうにまわして、なかなか説得力のあるものだった。(それにしても、レッドフォード氏はずいぶんと老け込んだ感じがする。よ~く見ないと彼とは分からなかったほどで、ちょっとビックリ。)

ところでCNNは、ブッシュ政権のエネルギー担当相や、オイル・メジャーのCEO達にも出席を依頼したそうだけど、なんとこのオライリー氏以外は全員出演拒否したらしい。

とりあえず生放送での集中砲火を避けたかったのだろう。そういう意味では、批判を承知の上で出席したオライリー氏は案外好印象だった。

By the way, we invited Energy Secretary Samuel Bodman to take part in tonight's program. He declined. We also asked the CEO's of Exxon, Mobil, Conoco, Phillips, BP, and Shell to participate in a roundtable discussion. They declined.

We're going to meet David O'Reilly, the Chairman and CEO of Chevron, who did not decline.

このサイトで配信されているビデオ・クリップも、なかなか良く出来ていて、果たしてこの制作にレッドフォードが関わっているかどうか分からないけれど、なんかそんな雰囲気がしなくもない。(BGMに聞き覚えが・・・)

クリップの裏づけとなるデータ類の資料も豊富で、とても参考になる。

ようするにこの「E85」は、トウモロコシなどの穀物から作られるエタノール燃料で、ガソリンより安価で、クリーンで、しかもアメリカ国内でも大量生産が可能であり、中東などの不安定な地域の原油に依存する状態から脱却できるので、アメリカの安全保障上も有利であるという主張。非常にもっともだ。

そしてもう一つの主張は、オイル・メジャーは今の原油高を利用して儲けすぎているという点。そしてこれは、ブッシュ政権が石油業界と結託して、わざとまともなエネルギー政策を打ち出さずに来たからだという部分。

別にブッシュ政権に限らないとは思うけど、ブッシュが大統領に就任した頃のガソリンの平均的な小売価格が、$1.46だったのに、今やこれが$4.00を超えようという状況だから、どうしても目立つわけだ。

なんせOPEC最大の産油国はサウジ・アラビアで、今のところアメリカとサウジの石油王族との関係は良好のようだけど、第二位がイラン、第三位がイラクということで、イラクの状況は相変わらず好転しそうもないし、さらに加えてイランの核開発疑惑や終わりそうもないイスラエル/パレスチナ間の紛争なんかで、この地域の不安定要因はしばらく消えそうもない。

おまけに、去年のカトリーナなんかの影響で、メキシコ湾岸地域の製油施設が壊滅的な打撃を受けながら、未だに完全に復興していないから、アメリカの石油精製能力は落ちたままだ。

そもそも原油価格の高騰自体、キッカケは投機マネーだったかもしれないけれど、石油を取り巻く状況が複合的に悪すぎて将来的に下がる要因はないといわれている。

シェブロンのオライリー会長も、かつてのガソリン1ガロンあたり1ドル、原油1バレルあたり20ドルというレベルに戻ることはないだろうと認めている。

KING: Do you see it going down?

O'REILLY: I'm afraid -- I'm concerned. I think first of all we're not going back down to $1 a barrel -- I mean $1 a gallon gasoline or $20 a barrel oil.

そんな状況下でオイル・メジャー各社は、例えばExxonMobileの場合、この1年で全ての法人によって作られた記録を塗り替えた360億ドルという、途方もなく巨額の利益を上げ、ExxonMobileのレイモンドCEOは4億ドルという法外な退職金を得ている

ExxonMobil broke their own record (set at $25 billion in 2004) for the highest profits ever recorded by a corporation with a $36 billion and paid their retiring CEO Lee Raymond $400 million.

そりゃ4兆円も儲ければ440億円ぐらいもらたって、どうってことはないのかもしれない。

しかし番組では、キング氏がこの莫大な利益について、そしてその結果各社のCEO達が受け取っている、他の業界全てと比べても異常なほど高額な報酬について、かなり突っ込んだ議論が交わされていた。

「ところで、このガソリンの販売価格の内、あなた達はいったいいくら利益を取ってるの?」なんていう、生々しい質問が飛ぶ。

ちなみに精油会社が得ている利益は、かつては1ガロンあたり28セント程度だったそうだが、現在は1ドル近くに成っているという。そりゃ儲からないわけがない。

In September of 2004, refiners collected an average of $0.28 per gallon, but by the end of 2005, they were collecting nearly $1. (Source: Justin Blum, Gas Profit Guzzlers, The Washington Post, September 25, 2005, available here.)

番組では、この点についてオライリー会長は、「1ガロンあたりの我々の儲けは5セント程度ですよ。しかも我々は莫大な税金(全収益の48%)を納めていますから、純利益は本当に少ない。」なんていい訳をしていたが、退職金の話しになると完全にはぐらかしていた。まぁ他の会社のことだし、説明できるわけがないのかも。

KING: But the public when it sees, I forget what oil company some cheese, CEO retires and gets $400 million that looks bad. It looks bad.

O'REILLY: Yes, but I -- well it certainly can raise -- I can understand why it would raise questions. You know the public sees these high prices and I empathize with them because we've certainly seen an increase in gasoline prices in the last few years.

上記のサイト「KICK THE OIL HABIT」によれば、例えばエクソンのレイモンドCEOの報酬は一日あたり$191,000!つまり日当約2100万円・・・。

平均的なアメリカ人の一日あたりの報酬は122ドル=約1万3000円だそうだから、実に1565倍にもなる。

いくらなんでもこういう実態を知ると、さすがに「何かオカシイ。」と思うのが当たり前だ。

というか、もしかしたらガソリンの価格が高騰して初めてこんなこと気がついちゃったという感じか。ブッシュの二期目の選挙の時に気がつけば良かったのにね。しかし「時、既に遅し」・・・。

さて、ロバート・レッドフォード氏と同様、代替エネルギー推進派として登場したのが、ヴァージン・グループのSirリチャード・ブランソン会長だ。

ブランソン氏はヴァージン航空の経営者という立場から、最近の航空燃料の高騰には相当神経質になっているという。

ブランソン氏は、「このまま放っておけば、原油価格はいずれ1バレルあたり$100~200に成ることも在り得る。それがキッカケで世界経済が停滞し大不況に成る。」とCNBCのニュース番組で発言している。

"If we don't start now to get more refineries built then fuel prices could literally rocket to $100-$200 (per barrel of oil) and the world economy would come to a grinding halt,"

その為ヴァージンとしては、現在企業防衛という観点から、投資可能な資金を全てエタノールの精製工場の建設や、風力発電、太陽エネルギーなどあらゆる代替エネルギー関連に投資しているという。

So from Virgin's point of view, all of our spare money is being put into building ethanol plants, wind farms, looking at solar heating and just trying to do everything we can to create an alternative energy source. And it's also good business sense.

またブランソン氏は地球温暖化と絶滅危惧種の問題についても言及している。

KING: Sir Richard, are we on the right road?

BRANSON: We're beginning to be, but we're already I suspect too late for about 20 to 30 percent of the species on the amount of CO2 that's up there. And we can't do anything about. We've left it too late for something like 20 or 30 percent of the species. We have got to tackle head on issues like gas stations. They are the most damaging thing on earth, and China and India and America and Britain are building many more. They shouldn't be allowed to build them.

I think the global community has just got to rally around to prioritize and make sure, you know, that we get on top of the CO2 emission situation fast in order to save the 17 or 18 percent of species that are still there and have a chance to be saved.

さらにブランソン氏は、本当に必要なのは『セルロース・エタノール』の開発だという。

何故なら、穀物由来のエタノールは供給能力に限りがあり、仮にアメリカ国内に200とか300とかのエタノール工場が出来ると、その需要を満たすために本来は食料となる分までエタノール生成に回さなければならなくなるからだという。

KING: Sir Branson, what are you doing with regard to your methods of delivery of energy?

BRANSON: Well I think ethanol has got a limited amount of supply. By the time you say build another 200 or 300 ethanol plants in America, you're going to be starting to eat into the food supply and therefore people are not going to want to use food for ethanol.

彼が推奨するセルロース・エタノールは従来焼却処分されていた廃棄物を酵素で分解して生成するもので、原料となる廃棄物は需要を満たすだけの充分な量があるという。

What we need is something called cellulose ethanol, which is basically enzymes which will break down the waste products in the fields that currently gets burnt off. And there's enough waste product in the world to replace our energy needs completely.

しかもセルロース・エタノールは環境にも100%フレンドリーということで、良いことずくめなのだが、現在は生成するためのコストが高過ぎるので、政府の補助と投資によって、このエネルギー生成の鍵となる酵素を大量生産できるようにする必要があると強調している。

The great thing about cellulose ethanol is that it's 100 percent environmental friendly. But what cellulose ethanol needs is government support, because at the moment it's more expensive to produce and it needs a lot of investment by government in getting the enzymes right so that it can be produced. If it can be produced, I think that is the exciting future and hopefully in the next handful of years, there will be big break throughs with the enzymes.

意外なことに、シェブロンのオライリー会長もこれに同調して、「それは本当の話だ。セルロース・エタノールは“聖杯”のようなもので、もしセルロースのコードを解くことが出来れば、ダヴィンチ・コードどころの騒ぎではない。」という。

O'REILLY: Larry, if I could jump in, it is true, cellulose ethanol is almost like the holy grail. If it works, it changes the game. So I'd say if you can crack the cellulosic code, that will be an even bigger deal than "The Da Vinci Code."

とにかく地球で産出される原油の25%を消費するエネルギー浪費大国のアメリカ。ブッシュがいうまでもなく、アメリカは正真正銘の石油中毒国家なのだ。

今までは安いガソリンをハマーH1みたいな異常に燃費の悪い車(1.7km/リッター)でガンガン燃やしても平気だった、というか、そういう無駄や浪費こそがある意味で贅沢なライフスタイルの象徴だったのだろうけれど、もうそういう訳には行かないということだ。

 【ニューヨーク5月13日共同】米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)が、米軍用車を基に開発した「オフロードの王」と呼ばれる大型車「ハマーH1」の生産停止を計画していることが十三日明らかになった。同日付の米紙ニューヨーク・タイムズが伝えた。

 ガソリン価格の高騰で燃費の悪い同車種の販売が落ち込んでいたのが背景とみられるが、同紙によると、GM側は生産停止はガソリン相場と関係なく、新しいモデルを開発するためとしている。

 H1は地面から車体の底までの高さが四十センチ以上あり、砂漠や岩山などを自由に走れるオフロードカーとして人気が上昇、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事ら有名人が所有している。しかし二○○○年に八百七十五台あった販売台数は、原油価格が上昇し始めた○五年に三百七十四台と半分以下に落ち込んだ。

止まらないブッシュの支持率低下(29%)と不支持率の最高記録の更新(65%)は、実はガソリン・スタンドの売価の上昇とシンクロしているようにみえるけど、果たしてこれがキッカケに成って少しは地球に優しい国家にシフト出来るのだろうか?

温暖化問題については、このラリー・キング・ライブでも言及されていた、アル・ゴア元副大統領主演のドキュメンタリー映画「An Inconvenient Truth」の主要テーマでもある。

ちなみにゴア氏は先日カンヌ映画祭に登場して話題を呼んだばかりだが、現地でこの作品を鑑賞した映画評論家の斉藤敦子さんは、昨夜のJAM THE WORLDで電話取材に答えて、「映画としてかなり良い出来。これを観ると、もう“THE DAY AFTER TOMORROW”みないな状況は現実に成り始めていることが分かって、少しでも環境に良いことをしなければと切実に思う。」とのこと。

もしかしたら、6ヵ月後の中間選挙の方向性を占う上で、案外この『環境問題』が重要な争点に成るかもしれない。

アメリカの政策が変われば、当然日本にも何らかの影響があるわけで、ここでの議論はむしろエネルギー依存度が極端に高い日本でこそ行われるべきだと思う。

アメリカでは現在、ガソリンから再生可能燃料へ移行するガソリンスタンドのオーナーに対し、最大3万ドルのインセンティブ(奨励金)を与える「2006年代替エネルギー燃料補給システム法案」の上程が計画されて、再生可能なエネルギーへの移行が本格的に検討されているという。

フォード副社長、再生可能燃料の普及に法制化を訴え

フォード・モーター・カンパニーの環境および安全技術担当であるスー・シスキー副社長が米国連邦議会に出席し、ガソリンから再生可能燃料へ移行するガソリンスタンドのオーナーに対し、最大3万ドルのインセンティブ(奨励金)を与える法案の立法化の重要性を訴えた。
 
シスキー副社長は、法案の共同提案者であるジョン・スーン議員、ケン・サラザー議員、ジム・タレント議員ら上院議員と議会に出席し、「必要なインセンティブを与えるというこの革新的な法案は、米国内におけるインフラの拡充や再生可能燃料の利用促進に役立つものと確信している。米国民に対して、再生可能燃料をいつでも補給できるという安心感をもたらすだけでなく、米国の輸入原油の依存も低下する」と語った。

この2006年代替エネルギー燃料補給システム法案は、多くの消費者が、エタノールや圧縮天然ガス、バイオディーゼルなどの、よりクリーンで再生可能な燃料を選択できるようにするもので、結果的に米国の輸入原油の依存低下にもつながる。

シスキー副社長は、フォードが2006年末までに2万台のエタノール燃料車やFFVを発売する予定を明かにした上で、「現在、E85燃料を扱うガソリンスタンドは600店舗しかなく、この30倍は必要。今の状況下では、我々が再生可能燃料で駆動する車を生産しても半分の意味しか成さない」と述べた。その上で「この法案が採択されれば、E85をはじめとする再生可能燃料のさらなる開発、普及が期待でき、石油精製業者も事業的に採算がとれる」と法制化に期待を示した。

May 23, 2006 in Ecology, Economy, IRAN, IRAQ, Media, Politics, Science | Permalink

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