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Sunday, September 10, 2006

【現代版シャイロックとその仲間達】

■消費者金融:生命保険で債権回収、1割は自殺(Mainichi Interactive

 消費者金融10社が債権回収のため借り手全員に生命保険を掛けていた問題で、大手5社で支払いを受けた件数が昨年度1年間で延べ3万9880件あり、このうち自殺によるものは判明しているだけでも3649件に上ることが分かった。この保険の支払い状況が明らかになるのは初めて。全体の件数の中には死因が分からないものも多く含まれており、借り手の自殺によって消費者金融に生命保険金が支払われた件数はさらに多いとみられる。多重債務者が自殺に追い込まれている深刻な実態が浮かんだ。

 この保険は「消費者信用団体生命保険」と呼ばれ、大手消費者金融から借り入れる際、契約と同時に借り手を被保険者とする加入手続きが取られている。借り手が死亡した場合、保険金は消費者金融に支払われる。契約後1~2年以上たったケースでは死亡診断書などの提出を省略できるため、3万9880件の中には死因が不明のものも多数含まれている。金融庁は、保険金が支払われた総数に占める実際の自殺件数の割合は10~20%に上るとみている。

ベニスの商人」に登場するシャイロックも裸足で逃げ出すような話だけれど、少なくともシャイロックは証文を取るときに、「期限までに返済できなければ、シャイロックの希望する部位の自分の肉を1ポンド切り取って与える。」という条件に同意させていた。

一方、現代版シャイロックは利用者が契約する際に、実は同時にこの「消費者信用団体生命保険」に加入していることを積極的に告知していない(保険の説明は1~2ミリの細かな字で他の契約内容とともに列挙されるだけの場合も多く、無人契約機の利用時などは、加入に気づくのが難しい)ため、その事実を知らない利用者がほとんどだという。(Mainichi Interactive

 借り手の保険加入に当たっては、大半が貸借契約書と保険加入書が同じ用紙で、貸借契約書の中に小さく「保険加入に同意する」などとしか記載されていない。全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会は「十分な説明や意思確認があるとは言えない。自分が加入した保険会社名さえ長年知らされてこなかった」と指摘する。

 消費者金融の生保加入は、本人が契約自体をほとんど知らないことに加え、保険金が遺族を素通りして業者に支払われる。死因が十分審査されない場合もある。しかも利息制限法を超えて本来は支払わなくていい「債務」が含まれていても、業者の「言い値」で保険金が下りる。消費者金融側は「債務者の遺族に負担をかけないための保険」と主張するが、命の「対価」に本人や遺族がかかわらない仕組みは正常とは言い難い。

これは正常とは言い難いというわけで、金融庁はこのシャイロックの末裔達に“サービス”を提供する生保各社に対して、わざわざ「借り手に生命保険の加入同意を徹底するように指導した。」という。(asahi.com

金融庁は、保険を提供する生保各社に、契約の中身を十分説明するよう求めた。これに対し、生保・消費者金融各社は今秋、保険の内容を書いた書類を利用者に渡したり、郵送したりする対応を始める。さらに申込書と生命保険への同意書を分けることや、無人契約機では「同意」の操作をしないと借金の契約も完了できないようシステムを改定することも検討している。

問題は「生命保険で債権を回収すること」ではなく、「利用者に生保加入をきちんと告知していないこと」だというわけ。さすがは金融庁、まことに御立派な見識というほかない。

グレーゾーン金利の撤廃も業界圧力で完全に腰砕けになったことからも明らかなように、正々堂々「命を担保」にしている業界を積極的に保護し育成することが金融庁の勤めというわけか。事実は小説よりも奇なりの典型。シェークスピアが生きていたら、「ベニスの商人」を書き直すかも。

September 10, 2006 in Business, Politics | Permalink

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Comments

たろうさん、再びコメントをいただきありがとうございます。

宇都宮先生のゲスト出演の次の週あたりから、「消費者信用団体生命保険」については撤廃すべきという意見も目にすることが多くなりましたし、消費者金融大手もこのシステムを見直す方向だという流れが出てきたので、今後これがどこまで進むのか注目していきたいと思いますが、それにしても将軍様の核実験でこの話題も霞んでしまった感がありますね。

Posted by: a-key at Oct 13, 2006 2:36:28 PM

>たろうさん、宇都宮先生の出演を事前に察知するとは、もしかして先生のお知り合いですか?
ここで、J-WAVEさんが教えてくれます。
http://www.j-wave.co.jp/blog/

上限金利を撤廃したのがIMF管理下の韓国。メリケンの要求を呑むと、玄界灘の向こうの火事がこちらまで延焼、、、

命を担保といえば、従業員の同意なく掛けられた団体生命保険が数年前に問題になりました。受取保険金>弔慰金=過労死すると会社が太る。同じ構図ですね。

Posted by: たろう at Sep 23, 2006 7:22:52 PM

たろうさん、宇都宮先生の出演を事前に察知するとは、もしかして先生のお知り合いですか?

昨日の放送では、まさに穏やかな口調でありながら、内容はかなり刺激的なもので、とても勉強になりました。

グレーゾーン金利の撤廃に反対しているは、消費者金融は当然とは思ってましたが、消費者金融に資金を託して利益を上げているアメリカのファンドや、シーファー駐日大使をはじめとする米国政府筋から相当強力な圧力があったという話。

具体的には郵政改革と同様、対日年次改革要望書にこの問題が明記してあって、しかも彼らが求めているのは、グレーゾーン金利の撤廃ではなくて、「上限金利の撤廃」だという背筋も凍るようなお話を披露していただきました。

なるほど、どうりで金融庁案も自民党案も、本来の目的とは逆のベクトルに向かってまとめられたわけですね・・・。

「消費者信用団体生命保険」についても「即刻撤廃すべき」とのコメントをいただきましたが、いかんせん限られた時間の中、枠ギリギリ一杯使ってお話いただきましたが、まだ語り足りない感じでしたね。

「法案自体はまだ二転三転するだろう。」とのことでしたから、いずれまた改めてご出演いただこうと思っています。

Posted by: a-key at Sep 20, 2006 1:31:00 PM

19日のジャムに宇都宮御大がご出演とか。
静かな口調でも心中は怒髪天だろうな。

Posted by: たろう at Sep 17, 2006 3:13:37 AM

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