【ブーイングは無かったけれど 2007年一般教書演説】
Thursday, January 25, 2007
支持率28%と完全にLAME DUCK状態のブッシュ大統領。民主党がマジョリティーを占める議会と初めて対峙する今年の一般教書演説は、なかなか面白いものだった。
2万2000名のイラク増派を、何とか予定通りやらせてもらいたいブッシュとしては、この演説で是が非にでも議会と国民の共感を得なければならなかった。
「こんなはずじゃなかったんですッ!お願いです。私にもう一回だけチャンスをくださいッ!」と懇願してはみたものの、共感を得るところまではいかなかったようだ。
ブーイングこそ出なかったけれど、いつもならば儀礼的に演説の節目節目で一斉に議会全員が立ち上がり、「よッ、大統領!」とばかりに拍手喝采するのが当たり前なのに、今回はいくつかの「節目」で議会の60%近くを占める民主党議員たちが着席したまま拍手もせず、壇上のブッシュ大統領に冷ややかな視線を送る、というシーンが見られた。
Of his escalation plan, he said: "Our military commanders and I have carefully weighed the options. We discussed every possible approach. In the end, I chose this course of action because it provides the best chance of success." Left unsaid was that he had fired those generals who disagreed. His plan garnered only scattered applause from the Republicans, while the Dems sat on their hands.(AlterNet)
まさに「大統領 VS. 議会」の対立構造が鮮明に成った瞬間だ。
イラクに2万人程度増派しても、状況が好転する見込みは全く無い。
元々米軍の中枢ではイラクの安定化には25~50万人規模の派兵が必要だとしてきたが、ラムズフェルドが固執した「ハイテクによる米軍の近代化」の影響で、こうした訴えは開戦当初から無視されてきた。
2万人程度の増派は、単に人数的に昨年のレベルに戻るだけであって、去年まで駄目だったのに何故今回は成功するのか、その根拠は一切示されなかった。
そしてこの一般教書演説から一夜明けた今日、議会は早速イラク増派に反対する決議案を異例のスピードで可決することで、大統領の懇願をキッパリ拒絶してみせた。(CNN.COM)
この決議に法的な拘束力はないものの、民主党は近々イラクへの派兵に対して議会の承認を条件とする法案を提出するみたいだけど、これも可決は間違いない。
「もう大統領の思い通りにはさせない。」ということだろう。
今やアメリカ人の70%が「国が誤った方向に進んでいる。」と感じ、ベトナム戦争の時を上回る62%の人が「イラク戦争は間違いだった。」と認め、過半数を超える52%が、「イラクの治安が悪化するとしても、撤退すべきだ」と思っている。(CBS POLL:Most Unpopular President Since Nixon)
これは至極マトモな感覚だと思うけれど、僕に言わせれば「気がつくのが遅過ぎんじゃないの?」という感じだ。
そもそも2000年の大統領選挙で大規模な票の操作が行われた結果、アル・ゴアから大統領の座を掠め取ったことを放置し、その上、2004年にはイラク侵攻の大儀が全くの捏造だったことが明らかに成って、世界各国でブッシュとアメリカに対する非難の声が上がっていたにも関らず、結局は再選させてしまったのが間違いなのだが・・・。(田中宇の国際ニュース解説)
民主党が優勢となったアメリカ議会は、一部の共和党議員と協調してこの民意を政策に反映することで、過去に大統領の独断を承認した過ちを正そうとしている。
そういう意味で、潮流は明らかに変わったようにも見える。
それでもブッシュ大統領にはまだ残された任期が2年もある。弾劾でもされない限り、アメリカのみならず、世界はこのカオスから逃れることは出来ない。
■2007 STATE OF THE UNION (THE WHITE HOUSE)
平成15年06月11日国家基本政策委員会合同審査会
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、過去、化学兵器等を自国民に使ってまいりま
した。また、国連の査察等に対して、イラクは疑いを払拭するような行動をしてこなかっ
た。完全に破棄しましたという証拠を見せなかった。あるいは、査察団が来ても追い返し
た。そういうことから見れば、ほとんど多くの国が、大量破壊兵器を保有している、化学
兵器、生物兵器を保有しているということに対しての多くの危険性を抱いていた。
現に、フセイン大統領はいまだに見付かってないんですよ。生死も判明していない。
フセイン大統領が見付かっていないからイラクにフセイン大統領は存在しなかったとい
うこと言えますか、言えないでしょう。(発言する者あり)
こう言い放ってアメリカにシッポを振った当時の首相はまだ衆議院議員ですが、どう総括するんでしょうか?
Posted by: たろう | Saturday, February 10, 2007 at 08:07 PM