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Wednesday, March 21, 2007

【新セブン・シスターズの台頭】

田中宇さんのコラム記事で「新セブン・シスターズ」というものの存在を知った。

「セブン・シスターズ」と聞いてピンと来る人は、是非この田中さんのコラム「反米諸国に移る石油利権」を読むことをお薦めしたい。

近代のほとんどの戦争、特に中東を舞台にした戦争の根源にあるのは、石油利権を巡る争いだというのは紛れもない事実だと思う。そしてその舞台裏には常に「セブン・シスターズ」が存在していて、それはこれからも変わらないと思っていたけれど、この記事にある「新セブン・シスターズ」の台頭は、そういう固定的な見方を変えざるを得ない、従来の世界観の再検討を迫るもので、まさにパラダイム・シフトという感じがする。

「セブン・シスターズ」は、7社で世界の石油利権を支配しているといわれる米英の石油会社で、エクソン、シェブロン、モービル、ガルフ石油、テキサコというアメリカの5社と、ブリティッシュ・ペトロ-リアムス(BP)、ロイヤル・ダッチ・シェルというイギリス系の2社を指していた。1980-90年代の国際石油業界の再編によって、エクソンとモービルが合併し、テキサコがシェブロンに吸収され、ガルフ石油は分割されてBPとシェブロンに吸収されたことで、セブン・シスターズは4社に減った。この4社が世界の「石油利権」を握り「石油はアングロ・サクソン(米英)が支配する」というのが、これまでの常識である。

 ところが問題のFTの記事によると、今やこれらの米英の石油会社は、世界の石油利権を支配していない。米英のシスターズは、すでに「旧シスターズ」になってしまっており、代わりに欧米以外の国有石油会社が「新シスターズ」を結成し、それが世界の石油と天然ガスの利権を握るようになっているという。

 新しいセブン・シスターズとは、サウジアラビアのサウジアラムコ、ロシアのガスプロム、中国のCNPC(中国石油天然ガス集団)、イランのNIOC、ベネズエラのPDVSA、ブラジルのペトロブラス、マレーシアのペトロナスの7社である。これらは、いずれも所属する国の国営企業である。

 FT紙は、石油業界の多数の経営者たちに意見を聞いた上で、この7社を新シスターズとして選定したという。7社は合計で、世界の石油・ガスの産出量の3分の1、埋蔵量の3分の1を握っている。これに対して旧シスターズの4社は、保有油田が枯渇傾向にあるため、今では産出量の1割、埋蔵量の3%しか持っていない。

 旧シスターズは、ガソリン、軽油、石油化学製品など、業界の川下の加工品分野を握り続けているため、企業としての収益率は新シスターズより高い。だが、企業価値を表す株式の時価発行総額で見ると、1位はエクソン・モービルが維持しているものの、2位と3位は、BPとシェルが落ち、代わりにガスプロムとCNPCが上昇して取って代わった。

 国連の国際エネルギー機関によると、これまでの30年間に新たに開発された油田・ガス田の40%は旧シスターズ管轄下の欧米諸国に存在していたが、今後40年間に開発予定の油田・ガス田の90%は新シスターズが強い発展途上国に存在している。

 FTによると、こうした変化を踏まえ、世界のエネルギー業界のルールは、これまで旧シスターズが決めていた状況から、新シスターズが結束して決める状況に、すでに転換している。新シスターズの台頭の背景にあるのは、発展途上国での資源ナショナリズムの勃興で、以前からのその動きが、最近になって石油覇権の移転というかたちで結実したのだとFTは分析している。

March 21, 2007 in Business, IRAN, Politics | Permalink

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