【(PIXER + DISNEY) X APPLE = MAGIC FORMULA】
Saturday, January 28, 2006
■ディズニーによるピクサーの買収、そしてジョブスはディズニーの筆頭株主に(CNET JAPAN)
久々にインパクトのある企業買収のニュース。株式交換による企業買収というと、ライブドア騒動のお陰で一般的には何だか胡散臭いイメージが付いてしまったけれど、この組み合わせには運命的というか、ある種の必然性と計り知れない可能性を感じる。
2004年にはPIXERがTOY STORY以来のディズニーとの関係を解消するというニュースが流れて、次は何処と組むのか様々な憶測が飛び交った。ところが昨年になって一転、今度はディズニーがiPodへ作品を提供するというニュースで、これはもしかするとPIXERに逃げられそうになったディズニーが、ピクサーを引き止めるために新しい提携事業を提案しているんじゃないかと思っていた。
そして2006年年明け早々に発表されたこのニュース。個人的にはすごく面白いと思うし、折りしもジョブスの半生をドキュメントした「iCon」がベストセラーに成っていることもあって、ジョブスの人生にとってもマイルストーン的な展開に成るのではないかという気がする。
【IT PLUS:ロサンゼルス=猪瀬聖】米ウォルト・ディズニーは24日、コンピューターグラフィックス(CG)アニメ映画大手のピクサー・アニメーション・スタジオを買収すると発表した。買収額は約74億ドル(約8500億円)。ピクサーの技術力をテコに不振のアニメ部門を立て直し、急務となっているネット配信事業の強化を目指す。
ピクサーの会長兼最高経営責任者(CEO)でアップルコンピュータCEOでもあるスティーブ・ジョブズ氏がディズニーの取締役に就任する。ディズニーは昨年、携帯型音楽再生機「iPod」へのコンテンツ(情報の内容)提供でアップルと提携した。今回の買収でメディアとネット業界を代表する両社の事業協力が一気に進む可能性もある。
買収は株式交換で実施。ピクサー株1に対しディズニー株2.3を割り当て、ピクサー株を完全取得する。今夏までに完了する見通し。ピクサー株の50.6%を所有するジョブズ氏は、株式交換によるディズニー株の取得でディズニーの筆頭株主になる。
ディズニーといえば、元はアニメ制作会社だったのが今やABCなどを参加に持つメディア・コングロマリット。創業者のウォルト・ディズニーの遺伝子が未だに綿々と伝えられているとしても、今のディズニーにはウォルトに匹敵するカリスマ的な創造性は感じられない。むしろ巨大コングロマリットとしての弊害の方が大きくなっているんじゃないかとさえ思える。
一方、考えてみたらガレージ・カンパニーから始まったジョブスも紆余曲折あってピクサーという、正にCGIにおけるディズニーのような会社を成功させ、ボーイズ・マーケットに弱いと云われるディズニーを補完するといわれるまでに成った。
今回の株式交換で何とジョブスはディズニーの筆頭株主として同社の取締役に就任し、さらには次期会長に就任するのではないかという観測もある。エンターテイメント界の巨大なカリスマであるウォルト・ディズニーの遺伝子に、IT系エンターテイメント界稀代のカリスマであるジョブスの遺伝子が注入されるわけで、利益相反だとか色んな障害はあるかもしれないけれど、何だか凄い優性遺伝が起きそうな予感がする。
1+1が何倍にもなる。本来こういうのが企業価値を高める互恵的な企業買収のモデルケースといえるかもしれない。
■参考リンク:
「魔法の国」に乗り込むS.ジョブスとピクサーの仲間達 (CNET JAPAN)
「真の主役はソフト」-アップル・ジョブスCEO 基調講演要旨 (IT PLUS)