
昨日、5日間の中国出張から戻ってきた。中国ではTwitterもFacebookもつながらないので、今日は久しぶりにログイン。別に無くても死ぬわけじゃないけど、普段は世界中の最新ニュースを閲覧するのに使っているので、やっぱり無いと不便だと思った。
5月4日に羽田から出発して上海へ入り、翌日には上海から四川省の成都、さらに翌日成都から北京へ、その翌日には北京から内モンゴル~崇礼(北京の北西山間部)、そして最終日に崇礼を出て北京~上海~東京へという強行軍で、さすがに昨夜は久しぶりに自分のベッドで爆睡した。
今回の目的は、僕の顧問先の関わっている都市開発プロジェクトの現地視察。上海は臨海地域のリゾート開発案件、成都は都心西部地域の田園都市開発案件、内モンゴルは観光誘致のための施設開発案件、崇礼は大規模なスキーリゾート開発案件で、それぞれ開発規模があまりにも巨大で、事前にもらっていた資料からは想像すら及ばないスケールだった。
どのロケーションも印象的だったけれど、2番目に訪れた成都では、ちょうど震災の2日前に上海で打ち合わせたメンバー達から、口々に東日本の震災のお悔やみをいただき、やはり3年前におきた四川省の地震では10万人近くが亡くなったということもあり、本当に心から心配してくれているのが良く分かった。
打ち合わせの後の会食で、福島原発の状況も含めて様々な情報をまとめてお話ししたが、中国からの救援隊が、いち早く駆けつけてくれたことに感謝すると、「我々が被災した時も、日本は一番最初に現地に入ってくれた。当然のことだ。我々も大変だったが、津波と原発という、2重3重の災難で本当に大変だろうと思う。しかし、四川も御覧になった通り、見事に復興を遂げている。日本も必ず短期間に復興すると信じている。」と応じてくれた。
北京では、久しぶりにあった映画脚本家のJin Naさん(彼女は昨年のベネチア国際映画祭で銀熊賞を獲得している気鋭の作家)から、震災直後の中国版Twitter上の発言で際立っていたのは、「日本人の震災に対する冷静な対応に対する驚嘆と称賛の声。」だったと聞いた。
もちろん、例によって日本に対して辛辣な意見を述べるネットユーザーによる「ザマアミロ!」的な発言も極一部には見られたそうだが、ほとんどの人が「あれほどの災害があったのに、暴動も略奪も起きず、誰の指示があったわけでもないのに秩序だった行動をとった日本人はスゴイ!もし中国だったらどうなるかと思うとゾッとする。」というようなコメントがほとんどで、日本に対する見方が随分変化したとのこと。
日本でもそういう報道があったので、そんなもんかとは思っていたけれど、実際に親しい人から改めて話を聞くと、やはり感慨深いものがある。
しかしそれだけに、2ヶ月経った今も10万人近い被災者が基本的な人権すら奪われたような環境に放置されている現実を思うと、「国民は素晴らしいが政府は劣悪」という海外の論評が、当たっているだけに悔しい。
それにしても、悔しいというよりも羨ましいのは、やはり中国の勢い。北京や上海には何度も来ているので、そこで働く若くてスマートな連中のエネルギーにはいつも感心させられるけれど、今回は初めてだった成都も、内陸部のハブ的な都市として、猛烈な勢いで成長発展していることが、何処を観てもそこかしこで建設中の高層ビル群だけでなく、街を走る車の波や、北京や上海と比べると、随分ユッタリと歩く人々の表情を観ても明らかだ。
ちなみに、成都は「中国で生活の満足度が一番高い都市」だそうで、その為、世帯当たりの自家用車の保有率も中国一だそうだ。明日の事を心配しないので、安心してお金を使う傾向があるとのこと。
残念ながら、今の日本とは「真逆」だよね。